京都府議会 2007-12-01
平成19年12月定例会(第2号) 本文
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月定例会(第2号) 本文 2007-12-06
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発言者一覧 選択 1 :
◯議長(
家元丈夫君)
選択 2 :
◯議長(
家元丈夫君)
選択 3 :
◯北尾茂君
選択 4 : ◯副
議長(
北岡千はる君)
選択 5 :
◯知事(
山田啓二君)
選択 6 : ◯副
議長(
北岡千はる君)
選択 7 :
◯北尾茂君
選択 8 : ◯副
議長(
北岡千はる君)
選択 9 :
◯教育長(
田原博明君)
選択 10 : ◯副
議長(
北岡千はる君)
選択 11 :
◯警察本部長(
青木五郎君)
選択 12 :
◯議長(
家元丈夫君)
選択 13 :
◯近藤永太郎君
選択 14 :
◯議長(
家元丈夫君)
選択 15 :
◯知事(
山田啓二君)
選択 16 :
◯議長(
家元丈夫君)
選択 17 :
◯教育長(
田原博明君)
選択 18 :
◯議長(
家元丈夫君)
選択 19 :
◯林正樹君
選択 20 :
◯議長(
家元丈夫君)
選択 21 :
◯知事(
山田啓二君)
選択 22 :
◯議長(
家元丈夫君)
選択 23 :
◯教育長(
田原博明君)
選択 24 :
◯議長(
家元丈夫君)
選択 25 :
◯議長(
家元丈夫君)
選択 26 : ◯巽昭君
選択 27 :
◯議長(
家元丈夫君)
選択 28 :
◯知事(
山田啓二君)
選択 29 :
◯議長(
家元丈夫君)
選択 30 : ◯巽昭君
選択 31 :
◯議長(
家元丈夫君)
選択 32 :
◯知事(
山田啓二君)
選択 33 :
◯議長(
家元丈夫君)
選択 34 :
◯教育長(
田原博明君)
選択 35 :
◯議長(
家元丈夫君)
選択 36 :
◯警察本部長(
青木五郎君)
選択 37 :
◯議長(
家元丈夫君)
選択 38 : ◯巽昭君
選択 39 :
◯議長(
家元丈夫君) ↑ ページの先頭へ 本文 ↓ 最初の
ヒットへ(全 0
ヒット) 1:
◯議長(
家元丈夫君) これより平成19年12月京都府議会定例会を再開し、直ちに本日の会議を開きます。
────────────────────
2:
◯議長(
家元丈夫君) 日程に入ります。日程第1、一般質問を行います。
通告により順次
発言を許します。
まず、北尾茂君に
発言を許します。北尾茂君。
〔北尾茂君登壇〕(拍手)
3:
◯北尾茂君 民主党府議会議員団の北尾茂でございます。私は会派を代表いたしまして、さきに通告いたしております数点につきまして、山田知事並びに関係理事者に質問をさせていただきます。
質問に入ります前に、
議長のお許しをいただき、このたび京都府監査委員により実施されました政務調査費に係る監査の結果につきまして、一言申し述べさせていただきます。
我が議員団におきましては、かねてより政務調査費について適法・適正な執行に留意してきたところでありますが、このたびの監査結果を踏まえ、監査委員から指摘されました事柄につきましては、真摯に受けとめ、前向きに対応してまいりたいと考えております。また、これを機に、その透明性の向上を初め、より一層議会改革に取り組んでまいる所存であります。
それでは、質問に入ります。
山田知事におかれましては、府民サービスを守り、またその向上を目指し、平成17年3月に「京都府経営改革プラン」を策定され、以来今日まで、徹底した内部改革に取り組まれてまいりました。今年度の当初予算におきましても、「集中と
選択」による200件を超える施策の見直しを初め、170人もの職員削減による人件費の抑制など、施策や組織の見直しで費用を捻出し、真に必要なところにお金をかける、まさに、「今」の府民生活を守るだけでなく、「将来」を見据えた取り組みをいただいているところであり、その行財政運営を評価するところであります。
〔
議長退席、副
議長着席〕
さて、季節は師走に入り、あと一月足らずで新しい年を迎えようとしております。新たな年に期待を膨らませる一方、残された数少ない日々ではありますが、やるべき課題を一つ一つ解決していかなければなりません。特に、ことしは、私たち京都府議会にとっては節目の年でもあり、4月の統一自治体議員選挙を受け、新たな4年のスタートを切ったところであります。
私たち民主党京都府総支部連合会は、この4月の選挙において、2011年に民主党が目指す京都の形として、民主党京都マニフェスト・京都スタイルを掲げ、選挙を戦ってまいりました。このマニフェストで、私たちは、「より民主的で自立した社会を」「より生活者本位の社会を」「持続可能で、より環境に配慮した社会を」「より包容力のある社会を」「より格差の小さい社会を」、そんな京都を形づくっていきたいとの夢を掲げ、京都に暮らす皆さんとかたい約束を交わし、それを実現していくための取り組みを進めていく決意のもと、日々活動しているところであります。
このマニフェストとして約束したことを実現するために、また、具体的な施策として実行していくための取り組みの一つとして、我が議員団は、去る11月2日、平成20年度京都府の予算編成に対して254項目に及ぶ要望事項を取りまとめ、山田知事に提出したところであります。
その中で、特にマニフェストで掲げた重点項目、将来にわたってきらめきある京都、生きがいと安心あふれる京都の未来を開くために欠かすことのできない重要・緊急課題等として、「子どもが安全に過ごせる地域づくり」「子育てニーズに即した多様な教育・保育機会の確保」「住宅等の災害予防及び再建支援」「自然エネルギーを軸とした地域自律のまちづくり」など、24項目を重点要求項目として要望したところであります。また、京都府の中期ビジョンに基づく施策の展開を図るための事項も含め、いずれも府民の生活を守るための重要諸課題について、厳しい財政状況の中ではありますが、その実現に向け積極的に対応され、適切な対策が講じられることを強く要望するものであります。
折しも、本府においては、来年度の予算編成作業が続けられているところであり、国の予算編成作業も年末の財務省内示に向け大詰めを迎えつつあります。予算編成に当たって、国を初め多くの府県ではシーリング方式を採用し、予算の縮減に努めているとの報道がされておりますが、これは肥大化する行政需要にこたえるための財源を確保することが非常に困難であることがその背景にあることは論をまたないものであります。
実際、本府におきましても、府税は増収傾向にあるものの、国の地方財政抑制方針のもと、地方交付税の削減が続き、一般財源総額はふえておりません。一方で、医療、介護の社会保障関係経費や、団塊の世代の大量退職に伴う退職手当など、義務的経費の増加が見込まれ、また、依然として厳しい状況にある中小企業や和装・伝統産業、高齢者やニート、フリーター等への課題の対応など、苦心の財政運営をされているのが実情であります。府民サービスをしっかりと守っていくためには、さらに徹底した行財政改革に努めていくことはもちろんでありますが、限られた財源を有効に活用し、教育、医療、福祉、産業、環境などの複雑・多様化するさまざまな府民ニーズに迅速かつ積極的に対処し、府民サービスの維持・向上に努めていくことも、また必要となってまいります。
そこで、お尋ねいたしますが、経営の基本は歳入に見合った歳出を組むことであり、そのことが持続可能な健全経営へつながると考えます。府税収入を初めとする一般財源総額の増加が見込めない中、限られた財源の効果的・効率的な活用を図り、中期ビジョンを初めとする施策の実現を図るために、どのような工夫をされ来年度予算を編成されようとしているのか、御所見をお伺いいたします。
また、現在問題となっている地域の疲弊、地方財政の回復を図っていくためには、各地方公共団体が継続して行財政改革を取り組んでいくのはもちろん、都市と地方の地域間格差の是正、地方が住民に必要な行政サービスを行うための地方税と地方交付税を含めた必要な税財源の確保を行う必要があります。今後、高齢化等に伴う社会保障経費等の増加が予想される中、住民一人一人が主役の「地方分権型社会」をつくり、住民に必要なサービスを提供していくには、住民に最も身近な地方の財政基盤を強化しなければなりません。
現在、国と地方において第二期地方分権改革が進められ、山田知事におかれましては、京都府知事としてのお立場だけでなく、地方分権推進特別委員長としてこの問題に取り組まれておられますが、都市と地方の地域間格差の是正、各地方公共団体が必要な行政サービスを行うための税財源の確保について、今後、どのように国に働きかけ、取り組んでいかれますか。知事の御所見をお伺いいたします。
次に、本府職員の人材育成に関しまして、数点お尋ねいたします。
今も申し上げましたが、本府の財政運営は非常に厳しいかじ取りが強いられているところであります。さきの決算特別委員会でも明らかになりましたが、平成18年度決算を見てみますと、財政力指数は0.54と、全国平均の0.46より高い水準を維持しておりますが、経常収支比率が96.5と、全国平均の93.5を上回る状況にあるなど、財政構造の弾力性が失われつつあると言わざるを得ません。
このような中、本府においては、「京都府経営改革プラン」のもと、施策の見直しや職員削減による人件費の抑制など、経営改革に果敢に取り組まれております。しかしながら、単に経営改革と申しましても、その結果、人材の大幅な減少が行政運営に支障を与えないか、いささか心配しているところでもあります。例えば、給与費プログラムでは、18年度からの5年間で警察官や教員を除く職員数の17%を削減することとされているのに加え、今年度からは、いわゆる団塊の世代の大量退職が始まるなど、行政サービスの基本となります人材の大幅な減少に危惧を抱くものであります。
今後とも、厳しい財政運営が続く中、人件費総額を抑制していかざるを得ないことは理解いたしますが、人員を削減しながらも行政サービスの水準を維持・向上させていくためには、戦略的・効果的な人員配置や人材育成を積極的に推進するなど、量的な損失を質でカバーしていくような人事政策が今後ますます重要になってくるのは明白であります。俗に「人は城、人は石垣」と言われますように、民間企業では、そこに働く従業員の意識一つで業績が左右されると言っても過言ではありませんし、本府におきましても、職員の質の向上を図ることが府民生活の安定・向上に直結するものであります。本府の19年度当初予算におきましても、人件費が3,156億円と予算総額の約4割を占めており、府民サービスの向上という観点はもとより、限られた財源を最大限有効に活用するという観点からも、職員がその持てる力をフルに発揮させることが府政推進の第一の原動力になるのであります。
そこで、お伺いいたします。
ただいま申し上げましたような観点も踏まえ、今日の府民生活の安心・安全を守るとともに、将来にわたり、住んでよかったと言われるような魅力ある京都府づくりを進めていくため、本府職員の人材育成にどのように取り組んでいかれるおつもりなのか、山田知事の基本的なお考えをお伺いいたします。
また、人事政策の推進に関し、先日、本府のホームページ「おこしやす京都」を見ておりますと、本年度の知事直轄組織の運営目標に人材育成のためのさまざまな取り組みが掲載されておりました。中でも、「人材活用プログラムの推進」として、新人材育成指針(仮称)の作成、新たな人事評価制度の導入、即戦力としての民間役職経験者の採用といった取り組みのほか、職員の能力開発を支援する取り組みとして、庁内ベンチャー事業の推進、大学等との協働研究、さらには研修・研究支援のあり方の見直しなど、私の考えと方向を一にするさまざまな取り組みが掲げられております。
そこで、これらの取り組みにつきまして、その実施状況及び府政推進に当たって期待される効果等につきまして、知事の御所見をお聞かせください。
次に、環境問題についてお尋ねいたします。
山紫水明の風土と長い歴史を持ち、そして、我が国の芸術や文化の中心であり、いつの時代においても多くの人々を魅了してきた京都は、現在でも国の内外を問わず数多くの方々を引きつけています。近年も、京都の観光地等を紹介する雑誌やテレビ番組などが多く見受けられますし、新たなホテルの開設など、観光客の受け皿もさらに整備されてきており、まさに国際観光都市・京都の面目躍如であると言えます。統計的にも、平成18年には約7,200万人もの観光客が訪れ、外国からの宿泊者数も約82万人に上り、世界的にも観光地としての「京都」は広く知られており、この多く来られる観光客の方々に「京都」のメッセージを発信できる状況にあります。
京都は観光だけではなく、環境にも深いかかわりがあり、京都の人々は古くから、その営みの中に自然を無理なく取り込み、歴史や文化に深くかかわりながら、生活に欠かすことのできない身近な存在として自然と調和してまいりました。また、平成9年12月には、京都において地球温暖化防止京都会議(COP3)が開催され、先進国の温室効果ガスの排出量に関する法的拘束力のある数値目標を盛り込んだ「京都議定書」が採択され、平成17年2月に発効したところであり、地球温暖化において「京都」は世界的な知名度を誇っています。
知事が、昨年11月にイタリア・トスカーナ州と「経済・環境交流提携等の協定」を調印されるに際し、同州の温室効果ガスの観測システムが「京都観測所」と名づけられているのを知られ、環境面で「京都」が持つ責任の重さを感じられたとお聞きしております。こうした中で、京都府では、京都議定書誕生の地として、「地球温暖化対策条例」を制定し、平成22年度までに平成2年度比で温室効果ガスを10%削減する数値目標を都道府県では全国で初めて設定しました。ことしは、地球温暖化防止京都会議(COP3)が開催されて10周年となる記念すべき年です。京都府では、これを機に、シンポジウムやフェスティバルといった記念イベントを企画・実施されていますが、こうした取り組みが府民の環境意識の高揚や温暖化防止に対するメッセージの発信につながるよう期待しております。
そこで、知事にお伺いいたします。
とりわけ、連日マスコミ等で報道され、国民的関心事となっている地球温暖化問題について、この京都から、府民だけでなく観光に来られた方々を含め、国内外に積極的にメッセージを発信して、「環境先進地京都」の存在感をさらに高めていく必要があると考えますが、知事の忌憚のない思いをお聞かせいただきたいと思います。
次に、地元問題でございますが、城陽市の山砂利採取跡地の問題についてお伺いいたします。
城陽市の山砂利採取跡地に「再生土」と称する産業廃棄物が搬入された問題については、京都府及び城陽市において「再生土問題に関する検証委員会」を設置され、京都府、城陽市のほか、環境法学や行政法、水質、土壌などの専門家の参画のもと、これまでの行政としての対応等について検証が行われてまいりました。この検証委員会は、終始公開のもとで運営され、市民が率直にその意見を表明する機会が設けられ、また、府民や市民の皆さんの理解が進むよう、専門的内容に及ぶ事項も、よりわかりやすい説明や幅広い経験の中から例示を交えて進められました。水野委員長様を初め各委員や関係者の皆様に心から感謝を申し上げます。
こうした検証が今まさに進められているさなかの去る11月20日並びに29日に、山砂利採取跡地に木くずやコンクリート片などの産業廃棄物を不法投棄した疑いで、山砂利採取事業所のアルバイト従業員を含む5名の容疑者が逮捕されたという事件が報じられました。山砂利採取地内における産業廃棄物の不法投棄案件としては、約1年前の平成18年9月にも、産業廃棄物不法投棄にかかわる現行犯逮捕の事案が発生しているところであります。
違法な産業廃棄物等の搬入を阻止するため、これまで、城陽山砂利採取地整備公社を中心として、監視体制の強化や、城陽市の「砂利採取及び土砂等の採取又は土地の埋立て等に関する条例」の改正に向けた取り組みも進められているところであり、今回の不法投棄事案について毅然とした対処がとられることを、府民、市民は強い関心を持って見守っているところであります。
ここで問題とすべきは、後を絶たない環境犯罪としての深刻さもさることながら、山砂利採取事業等にかかわる府民と京都府、城陽市などの行政、そして山砂利採取事業者間における信頼関係の崩壊が危惧されるということであります。現在、警察における捜査が進められているところであり、事件の事実関係を明らかにされて、問題点の抽出と対応策の具体化が図られるものと考えておりますが、二度とこのようなことが起こらないよう、関係事業者が産業廃棄物を搬入しないという強い意志を明らかにすることにより信頼関係の回復に努めるべきであるとともに、城陽山砂利採取地整備公社による検査、受け入れ、監視体制の一層の充実を図るなど、実効性のある対策の確立に取り組む必要があると考えます。
そこで、今回の事案に対する京都府としての対応方針及び今後産業廃棄物を搬入させない方策について、知事の御所見をお伺いいたします。
4: ◯副
議長(
北岡千はる君) 山田知事。
〔知事
山田啓二君登壇〕
5:
◯知事(
山田啓二君) 北尾議員の御質問にお答えいたします。
北尾議員におかれましては、ただいまは会派を代表されまして、私の行政運営に対しまして高い評価をいただき、厚くお礼を申し上げます。
まず、来年度の予算編成についてでありますが、議員御指摘のように、歳入に見合った歳出を組むことが基本ですけれども、正直言いまして、歳入に見合った歳出では、多分、この間の大幅な交付税の削減によりまして、府民サービスの確保というのは非常に難しいのではないかなというところまで追い詰められているというふうに思っております。
その上、後期高齢者医療制度の導入、介護保険の負担金等の社会保障関係経費が、来年度予算におきましても大きく増加することが見込まれております一方、今回の政府の交付税の確保策というのが今出てきておりますけれども、多分、基本的には市町村を中心とした配分になっていくのではないかなというふうに思っておりますので、そういった面からしますと、一般的な財源というのは増加は見込めないのではないかなというふうに思っております。それだけに、府民福祉の維持・向上という京都府の目的を達成するためには、積極的な経営改革に努めるしか打つ手が今のところはないのではないかなというのが、正直な私の思いであります。
このため、来年度の予算につきましても、義務的経費を除き、既存事業につきましてはゼロベースから積み上げていく。その中で、定例的な業務そのもののあり方を見直す。外郭団体の赤字補てんのあり方も見直していく。また、利子負担の軽減等府民生活に直接影響の出にくいこうした分野を中心に、できる限り歳出の見直しを行うべく、今、編成に努めているところであります。
また、使用料・手数料につきましても、一般の府民の方に影響が出ない範囲で見直しを行いますとともに、税収確保対策、広告収入の確保等、歳入確保につきましてもより一層努めるなど財源確保に努めて、その中で、地域力再生など中期ビジョンの実現への重点投資ができるように、何とか工夫をしていきたいなというふうに思っております。
そして、地方税財源のあり方でありますけれども、現在の地方財政の疲弊、また地域の疲弊を招いたやっぱり一番大きな原因の一つは、この間、異例と言ってもいいような地方交付税の大幅な削減だというふうに思います。2兆9,000億円を1年間に突然削減するような荒っぽいやり方というのは、私は今もとても納得のいくようなものではないと思っておりまして、こうした基本的な問題に対する考え方がなくて、これからの分権に対する財政基盤の確立というのはあり得ないのではないかなというふうに思っております。
国の方では、財政の苦しさを地方にしわ寄せするのではなくて、国と地方を通じた簡素な行政組織をつくって、国・地方全体を通じてプライマリーバランスを見て、その中で財政の健全化を図るべきでありまして、国の方がプライマリーバランスが悪い、地方の方がプライマリーバランスがいいみたいな、国と地方を対立関係に置いて財政を考えるようなやり方というのは、私は、基本的に間違っているのではないかなというふうに思います。
今後の地方税体系につきましては、景気変動が少なくて地域偏在が少ない、安定的な事業をやっていく地方公共団体にとりましては、そういう税体系を構築していくことが私はメーンだと思っております。こう考えますと、格差是正問題につきましても、税収の変動が大きい法人関係税の一部と地方消費税の一部を交換していくということ、つまり、法人関係税の方は交付税の原資にして配分をしていき、地方消費税でいくという今の総務省案の方が、案としては私はベターだというふうに思っております。ただ、地方消費税の議論は消費税の見直しの議論と混同されてしまって、また一体に扱われてしまうので、今の時点では大変難しいのが状況であります。
先週も今週も、私は、一応、知事会の立場から関係者と接触をずっと続けておりますけれども、正直言って、今の状況からいいますと、根本的な解決に至る道筋は全然見えてこないのではないか、とりあえず格差是正についての暫定的な調整に終わるのではないかなというふうに思っております。東京を初めとする首都圏の反発も強いですし、地方圏の財政に対する思いも強いものですから、そういった調整にならざるを得ないという雰囲気はありますけれども、私は、そういった中でも、とにかく地方分権、本来的な地方の税財源の充実というその趣旨が壊れないように、これからも必死に国に対して働きかけていきたいというふうに思っております。
次に、職員の人材育成についてでありますけれども、これからの地方公共団体というのは、少子・高齢化などの社会環境の変化に対応し、また、複雑・高度化する住民の皆様のニーズにもこたえながら、そして、財政難という状況の中で、地方に対して厳しい抑制策を講じる国に対しても、しっかりと地方の立場を主張していく、そういう形でなければならないというふうに思っております。
ですから、今までのように、住民の皆さんが市町村にこれを要望していく、そして市町村が都道府県に対して要望し、都道府県が国に対して要望し、国がそれに対してこたえていくという、いわば垂直的な関係ではなくて、本当に住民の皆さんと私ども都道府県の職員が向かい合って、そしてその中で、NPOや企業や市町村や国と連携をして、お互いに手をとり合って、府民の皆さんに対してしっかりとした行政運営をしていくという、水平と申しますか、そういう型のバランス感覚が求められていると私は思います。
ただ、理屈ではこういうことなんですけど実際は大変難しい面がありまして、今、私どもとしましては、職員の一人一人が府民の皆さんと対話ができる能力を開発し、そしてその対話をするためには知識とアドバイスをしていく力がなければなりませんし、その上で問題に対して積極的にチャレンジしていく気持ちがなければならない。こういう観点から、一生懸命職員の育成に努めているところでありまして、庁内ベンチャーや出前語らい、アクションプランなど、かなりいろいろな取り組みを行ってまいりました。
私自身、ことしも、庁内ベンチャー事業につきまして、研究成果の報告を聞いてまいりましたけれども、レベルは確実に上がってきているというふうには実感しております。そして、地域力再生事業におきましても、多くのNPOの方と府の職員が語り合う中で、私は、いろいろな面で意識づけが進んできているというふうに思っております。ただ、こうしたものは一朝一夕にすぐ変わるものではありませんので、議会の皆様の御指導もいただきながら、着実な人材の質の向上に努めていきたいというふうに思っております。
人事評価制度につきましても、人の評価というのは個人の見方が出てまいりますので、私は、やっぱりできるだけ客観的に見れる制度をつくっていかなければならないというふうに思っております。とにかく、評価制度がないことが一番職員も信頼感を失うと思いますので、できるだけ多くの人が、自己評価も含めて評価を積み重ねて、それを議論していく中で妥当性が担保されるような仕組みというものを、これからつくっていきたいというふうに思っております。
民間役職経験者の採用につきましては、民間との人事交流を実施しておりますけれども、今後、任期つきの職員等の採用試験も予定をしていきたいと思っております。
今後とも、職員の意識改革を進めますとともに、高い専門性や政策形成能力、現場対応能力を養いまして、府民の皆さんのためにしっかりと連携をしながら、協働しながら、分権時代を担える人材の育成に努めてまいりたいと考えております。
次に、環境問題についてでありますけれども、京都には京都にしかないすばらしい歴史と文化がありまして、それを求めて本当に大勢の方々が外国からも訪れていただいております。1200年の歴史を持つ京都文化、これが私たちにとりまして大変な財産でありますけれども、私は、北から南まで、京都の人は環境を大切にし、自然と共生する中で文化をはぐくんできたからこそ、こうして大勢の方々が今も来ていただけるのだというふうに思います。
借景とか、川や池を縦横に取り入れた景観など、環境に対する日本人の持つ細やかな感覚というものが、私は「京都議定書」という人類の未来を左右する成果につながってきたのではないかなと思います。それだけに、これからも私どもは、景観問題を含めて、環境との共生について十分な配慮を行うべきでありまして、地球温暖化対策条例や鴨川条例、そして豊かな緑を守る条例など、京都ならではの取り組みを通じまして、京都議定書誕生の地としての環境先進地として、我々の財産を守っていかなければならないというふうに考えております。
ことしも、COP3開催10周年として、記念シンポジウムや環境フェスティバルなどのイベントを通じて、持続可能な社会の構築について国の内外に発信する取り組みを進めておりますけれども、来年は京都議定書の第一約束期間が始まる。ここからいよいよCO2の排出量のカウントが始まりますので、まさに京都元年とも言うべき年だと思っております。特に私ども、御存じのように、サミットにつきましては、その中でポスト京都というものを話し合われる一番大きなイベントとして、京都から発信すべきだということで誘致をしてまいりました。北海道に決まりましたけれども、その北海道の首脳会議への一番大きな段取りを決める外相会議は京都で行われるわけですから、京都の持つ環境との共生によるライフスタイルを発信し、「環境先進地・京都」の存在感を、こうした取り組みの支援を通じまして広く発信してまいりたいと考えております。
次に、城陽の山砂利採取跡地での不法投棄問題についてでありますけれども、今回の山砂利採取跡地での事件は、埋め戻し事業に対する府民の信頼を裏切る行為であります。やはり、こうした事業が円滑に進むためには、御指摘のように、事業者と市民、そして行政との間の信頼関係がなければできないわけでありますので、それが裏切られるような行為の中では、本当にこれからのこうした事業というものについて、私は根本的な問題が生じたというふうに考えております。
この事案は、産業廃棄物処理業者だけではなく、山砂利採取業者の従業員も関与した疑いのある廃棄物処理法違反事件として、現在、警察において捜査が行われておりまして、私どもとしましては、まずその捜査の推移をしっかりと見守っていかなければならないというふうに思っております。
本件事案につきましては、法にのっとった厳正な処理が行われるべきものでありまして、事実関係を明らかにする中で、このような事件の再発を招くことのないように、十分な検証と対策を講じていくべきだと考えております。既に城陽市長さんが、産業廃棄物を持ち込ませないための実効ある条例改正の実施を表明されておりますけれども、京都府といたしましても、城陽市と連携して、城陽山砂利採取地整備公社における監視体制の強化を初めとして、徹底的な対策を講じてまいりたいと考えております。
6: ◯副
議長(
北岡千はる君) 北尾茂さん。
〔北尾茂君登壇〕
7:
◯北尾茂君 財政問題、そして人材育成につきまして、あるいは環境問題につきまして、山田知事の今後の方針と力強い御答弁をいただいたと考えております。
時間の制約もございますので、一点、環境問題。
私にとりまして、地元城陽市の山砂利採取場あるいは跡地の問題というのは、城陽市にとりましても、市域の面積の13%を占めるという広大な面積に係る事案であります。京都議定書誕生の地の中の城陽市におけるこのような産業廃棄物の不法投棄事案等、私自身も大変理解しがたい中でこのような事案が相次いで起こっております。その趣旨からも、要望を含めまして一言申し上げさせていただきたいのは、山田知事におかれましても、山砂利採取跡地への産業廃棄物不法投棄事案は、ほかにも発生しております残土不正販売事案とも相まって地元の市議会でも大変大きな問題となっていることは、報道等から御承知いただいていることと拝察いたします。
私は、考えますに、地元の市議会等の中でも、市長は、先ほど知事がお話しされました内容も含めまして、今後、跡地利用計画の放棄とか、あるいは埋め戻し事業そのものの中断とかいうことを地元の橋本昭男城陽市長が議会の中でも表明されていることは、相当深刻な状況に至っているのではないかなというのが私の認識でございます。
先ほど知事がお話しされましたとおり、今回の事案につきましても、警察の捜査に基づいた事実関係の究明等を待つべきところと私も思いますが、ただ、「まさかまさか」ということが城陽市では「またかまたか」という次元になっている。このようなことは、私としては、やはり住民の理解も得られないし、まさに行政と府・市民、住民、そして山砂利採取業者との信頼関係を根底から覆すような状況になっているのは、まことに悲しい現実であると思います。その意味におきましても、私は、今回は要望にとどめさせていただきますが、そろそろ根本的な、抜本的な対策を講じていかなければならないところに来ているのではないかなという思いを持っております。
今後とも、先ほど知事が表明いただいたとおり、京都府におかれましては、しっかりとした対応を地元城陽市と連携を図りながらお進めいただければと思っております。
それでは、続いて次の質問に移ります。
次に、自主防犯活動への支援についてお伺いいたします。
本年10月、兵庫県加古川市において、女子児童が自宅の前で殺害されるという悲惨な事件が発生しましたが、全国的にこのような子どもを対象とした凶悪犯罪や声かけ事案等が後を絶たない状況にあり、府民の子どもの安全に対する不安感と関心は、一昔前に比べかなり高くなってきております。私の地元であります城陽市におきましても、「自分たちの地域は自分たちで守ろう」という機運が高まり、防犯推進委員の皆さんや子ども見守り隊の皆さんなどが「防犯ボランティア」として、子どもの登校時や下校時において、立ち番や付き添いやパトロールを雨の日も風の日も行っていただいておりますし、学校の春休み等の休業期間や夜間においても、見回り活動を昼夜なく行っていただいており、頭の下がる思いであります。
また、本年10月13日に開催されました「安心・安全まちづくり京都大会」は、京都橘大学や京都産業大学などの学生さんたちが企画をされ、「地域の安全は若いパワーで!」をテーマに、地域一丸となった防犯活動を紹介されるなど、本府においては、地域の自主防犯活動が急速に拡大していることを実感するとともに、力強く感じた次第であります。このような防犯ボランティアの皆さんの自主防犯活動は、「子どもたちを見守る」という意味にとどまらず、地域住民の方々が街角に立つ姿や防犯パトロールを行う姿は、ひったくりや自動車盗などの街頭犯罪や空き巣などの犯罪を封じ込める効果があるとともに、地域防犯力の向上のためにも欠かすことのできない極めて重要なものとして位置づけられるものと考えます。
警察におかれましては、これまでから防犯活動に力を注がれておりますが、今後は、このような自主防犯活動を積極的に行っていただいている防犯ボランティアの皆さんとの連携や支援のあり方ということが、一つのキーポイントとなってくるのではないかと考えます。支援につきましては、府民労働部の安心・安全まちづくり推進室が主管となり、防犯活動用の資機材を提供するなどの事業が展開されていることは承知しておりますが、現場で活動される防犯ボランティアの皆さんにとりまして、ともに現場で活動される警察の支援、現場警察官の支援というものは、その活動の後ろ盾として非常に期待されていることと思います。
そこで、警察本部長にお伺いいたしますが、本府において、地域の安全・安心まちづくりの一翼を担う防犯ボランティア団体が数多く存在していると思いますが、団体が抱えている諸課題について、どのような認識をお持ちで、また、防犯ボランティア団体の皆さんに対して、警察として、どのように連携し、どのような支援をしていかなければならないとお考えか、御所見をお伺いいたします。
次に、学校の経営力向上の観点から2点質問をいたします。
まず、校長を初めとする管理職のマネジメント能力についてであります。
子どもたちの教育をめぐっては、学力低下への懸念、豊かな心の育成、食の問題や体力低下など、本当にさまざまな課題が次々と提起され、その最前線にある学校現場では、懸命の努力と同時に、突きつけられた課題への苦悩を繰り返されているものと思います。学校への期待のあらわれと言えば言葉はきれいでありますが、何でもかんでも学校に任せておけばいいということになれば本末転倒であることは共通の認識であると考えます。しかしながら、子どもたちが日々の大半を過ごし、また、PTA活動など保護者との太いきずなで結ばれている組織は、学校現場しかないというのが現実であります。
そうした中、本年6月に改正されました学校教育法においては、学校における組織運営体制を充実するため、副校長や主幹教諭などの新たな職の設置が盛り込まれたところであります。とりもなおさず、学校の経営力の強化は、校長のマネジメント能力によるところが大きいと存じますが、ややもすると校長のリーダーシップへの期待ばかりが大きくなり、それが逆に負担となって覆いかぶさっているのではないかと思います。校長先生方といろいろとお話をさせていただいた際にも、御苦労されている様子をお聞きすることもございますし、学校の経営力の強化には、校長はもとより、校長を支え、一緒に学校経営に参画していくスタッフがいなければならないと考えます。
そこで、教育長にお伺いいたします。
学校に対する余りにも多種多様で大きな期待にこたえることは難しいと存じますが、周囲の期待にどれだけこたえられるかということが、学校の評価となり、揺るぎない信頼の獲得になるものと存じます。そのためには、学校経営のマネジメント能力を高めることが重要と考えますが、今後、団塊世代の大量退職を迎える中、新しい職の設置も含め、校長を中心としたマネジメント体制の整備や、そのための人材育成にどのように取り組んでいかれるのか、御所見をお聞かせください。
次に、学校経営にかかわって、そのスタッフとなる教員の資質・能力の向上についてお伺いいたします。
よく「教育は人なり」と申しますが、日々、学校現場で子どもたちと向き合い、情熱を持って職務に励んでいただいている教員によって教育は支えられております。学校経営は、校長などのマネジメント能力の向上とともに、学校経営目標を踏まえた教員個々の努力の積み重ねがなければ成り立たないことは論をまちません。
このような中で、府教育委員会では、本年6月、新たな人材育成システムの構築を目指し、「教師力向上のための指針」をまとめられたところであります。この中では、京都府が求める教員像を示しながら、これまでの教員研修を大きく見直すこととされ、一人一人の教員の資質・能力の向上により学校組織を活性化させるべく、新しい研修体系の創設や、日々の教育活動の場におけるオン・ザ・ジョブ・トレーニングなどの積極的支援が述べられております。
そこで、お伺いいたします。
私は、これまで申し上げましたとおり、学校経営を支える人材育成が、子どもたちの学力の向上や、さらには保護者や府民の信頼につながると考えており、この指針で述べられている学校を支える一人一人の教員の資質・能力の向上という観点からの取り組みに大きな期待を寄せております。今後、このような観点からどのような取り組みを進めていかれるのか、御所見をお聞かせいただきたいと思います。
これにて私の質問を終わらせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
8: ◯副
議長(
北岡千はる君) 田原教育長。
〔教育長
田原博明君登壇〕
9:
◯教育長(
田原博明君) 北尾議員の御質問にお答えいたします。
学校におけるマネジメント体制の整備や人材育成についてでありますが、教育課題が複雑化・多様化し、学校への期待がますます増している今日、学校経営の体制整備が大変重要になってきております。そのため、現在「学校の組織運営体制の在り方研究会」において、新たな職の設置も含め、組織的・一体的に教育課題に取り組める体制整備について検討しているところであります。
また、管理職の大量退職を見据えたリーダーの育成が喫緊の課題であることから、中堅教員を対象に、民間の組織運営や企業理念を学ぶ宿泊研修を新たに実施しているところであり、今後とも、マネジメント能力の向上やミドルリーダーの育成に重点を置いた研修の充実を積極的に進めてまいります。
次に、教員の資質・能力の向上についてでありますが、議員御紹介の「指針」においては、学校現場を教員が鍛えられる最も大切な場として位置づけ、「現地・現場性を生かした人材育成」や「総合教育センター機能の充実」など課題ごとに、現在、市町村関係者も含めたワーキンググループを設置して検討を進めており、ベテラン教員のすぐれた実践的指導力の継承や、教員の自主的な研究・研修の支援といった観点から、具体的な議論を深めているところであります。
今後は、市町村教育委員会と連携しながら、教員が学校現場において切磋琢磨できる環境づくりを進めるとともに、学校全体の組織力をより一層高め、保護者や府民の信託にこたえられる学校づくりに努めてまいりたいと存じます。
10: ◯副
議長(
北岡千はる君) 青木警察本部長。
〔警察本部長
青木五郎君登壇〕
11:
◯警察本部長(
青木五郎君) 北尾議員の御質問にお答えいたします。
兵庫県加古川市において女子児童が殺害される事件が発生するなど、全国的に子どもを対象とした凶悪事件や声かけ事案が後を絶たない状況を受けまして、地域における自主防犯活動の機運が高まっております。
〔副
議長退席、
議長着席〕
特に、子どもの安全確保を目的に結成された防犯ボランティア団体は飛躍的にふえ、京都府下では、平成15年末には61団体であったものが、本年10月末では557団体と約9倍になっております。これら防犯ボランティア団体が抱える課題としましては、活動資金や装備等の充実、青色防犯パトロール車の拡充、活動員の参加層の拡大、防犯ボランティア・リーダーの育成などがあると認識しております。
府警といたしましては、これらの課題を踏まえ、防犯ボランティア活動に対する予算の確保、学生防犯ボランティア団体による防犯大会の開催や、学生に対する防犯推進委員の委嘱等による活動員のすそ野の拡大、防犯ボランティア・リーダーを育成する研修会の開催などの取り組みを強化してまいりたいと考えております。
さらに、防犯ボランティア団体に対する支援といたしましては、現在実施しております交番・駐在所を中心とした通学路等における合同パトロール、防犯教室の開催、防犯情報メールによるタイムリーな子ども安全情報の提供、地域安全マップの作成支援などを強化するほか、引き続き防犯ボランティア団体と連携し、その要望等を把握しながら、支援のさらなる拡充を図ってまいりたいと考えております。
12:
◯議長(
家元丈夫君) 次に、近藤永太郎君に
発言を許します。近藤永太郎君。
〔近藤永太郎君登壇〕(拍手)
13:
◯近藤永太郎君 私は、自由民主党の近藤永太郎でございます。
「揺らぐ・平成19年」、この12月定例議会において、会派を代表して質問する機会を与えていただきました自民党議員団の厚い友情に心から感謝を申し上げます。
質問に入ります前に、
議長のお許しをいただき一言申し上げます。
このたびの政務調査費にまつわります監査委員からの勧告につきましては、これを真摯に受けとめ、より透明性の高い、活性化した議会運営となりますよう、府民目線に立ち、信頼される仕組みづくりに努めてまいりたいと考えております。そのため、今回の監査の結果を踏まえ、政務調査費の一層の透明性を図れますよう、適切かつ具体的で明確なルールづくりに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
さて、3月に能登半島地震、7月の新潟県中越沖地震により、日本列島が揺らぎました。大型で非常に強い勢力を持つ台風の上陸、40度を超す猛暑に加えて、9月になっても厳しい残暑は続き、地球温暖化の影響で自然バランスが揺らぎ始めていることを痛感したのであります。また、食の安心・安全に対する信頼が揺らぎ、企業の社会的責任が厳しく問われました。一方、ひったくりや暴行など街頭犯罪も多発し、地域の安心・安全が大きく揺らいでおります。また、医師不足に起因して、いつでも、どこでも、だれでもが安心して受けることができる地域医療体制に揺らぎが見られ、景気に揺らぎが生じる気配が感じられる中、国による地方交付税の大幅な削減により、地方自治体の財政基盤は揺らいでいるのであります。
揺るぎに対処するべく多くの行政課題に直面する中、山田知事は全国知事会の地方分権推進特別委員長として、国と地方の役割分担の明確化と権限委譲の推進のため、地方を代表して国に
発言され、我が家元
議長も全国
議長会会長として、第29次地方制度調査会委員に就任され、地方の立場を表明すべく御活躍いただいているところであります。山田知事、家元
議長がともに地方分権の推進に大きな力を発揮していただいておりますことに、敬意を表するものであります。
二元代表制の一翼を担う議会人として、真の地方分権型社会の実現に向かって、そして「安心・安全、希望の京都」を築き上げますため、京都府政の当面する課題について、さきに通告いたしております諸点について質問をいたします。
まず初めに、財政運営についてお伺いいたします。
政府・日銀を初めとする関係機関の景気判断によりますと、我が国の景気は回復が持続しているとのことであります。この京都でも、景気回復基調に変わりがないと思う反面、私の実感として、また人々の声として、景気が回復し、生活が楽になったと感じている人は少ないと思うのであります。本府の財政状況を見ましても、景気の回復基調を受け、府税収入は一定持ち直したものの、三位一体改革に伴う国庫支出金の振りかえ分を除きますと、ピーク時の平成3年度の府税収入にも400億円を超える額が不足している状況にあります。その意味からも、京都府の景気が本格的に回復したとは言えないと思うのであります。しかしながら、東京都や愛知県のように名実ともに景気回復を認めざるを得ない地域があるなど、国内の景気格差が広がってきており、それがまた地域間格差の拡大につながっているとの危惧を抱くものであります。
京都では、景気の回復が実感として、また実態として伴わない中ではありますが、私たちを取り巻く社会環境は大きく変化し、行政に求められる課題は途切れることなく発生し、提起・提案されるのであります。少子・高齢化社会の進行、地球温暖化を初めとする環境問題の深刻化、また、児童虐待や街頭犯罪、若年者犯罪の増加など、さまざまな行政課題に対処するための財政負担は年々確実に増加しております。府政を支える府税を初めとする一般財源の総額がふえない中で、これらの財政負担にこたえていかなければならない、そういう厳しい財政運営の中で、山田知事はひるむことなく、府民福祉の向上を求めて、ぶれることなく果敢にさまざまな施策を展開されていることに敬意を表するものであります。
特に今年度は、府民生活を相互に支え合ってきた地域力の衰えにより、さまざまな政策を推進するための基盤が失われつつあることを懸念され、地域力の再生を府政の最優先課題として積極的に取り組んでいただいております。今、まさに、地域における格差是正や地域の維持・存続が困難な状況にある中、他府県に先駆け、地域力再生プロジェクトという先を見据えた施策をいち早く展開されたことを評価するものであります。
さて、ことしもはや師走となり、国においては、地方財政折衝の大詰めを迎えようとしているところであります。8月に示された国の概算要求では、地方交付税は、対前年度比4.2%、約6,000億円と昨年度に引き続き大きく減少しており、税収が増加しても決して歳入増加につながらない状況が続くことが想定されるため、それに対処した財政運営が必要であります。今後、歳入の増加が見込めない中で、医療費を初めとする社会保障経費の確保に加えて、新たな課題への対応も想定されるなど、これまで以上に厳しい財政運営が予想されるのであります。
本府においても、このような状況のもと、来年度の予算編成を進めておられるさなかであると思います。私は、厳しい財政状況の中において、府民に信頼される京都府づくりを進めていくため、より一層行財政改革の取り組みを進め、持続可能な確固たる財政基盤のもとでの、府民本位の未来に希望の持てる、充実した予算編成を期待するものでございます。我が議員団は166項目に及ぶ要望事項を取りまとめ、府民の生活を守るための重要な諸課題の実現に向け、積極的に対応され、適切な対策が講じられることを切望するものであります。
そこで、お尋ねいたします。
山田知事は、厳しい財政状況のもとで、地域の活性化や府民ニーズに沿った施策を積極的に展開するため、どのような視点に重点を置いて来年度の予算編成に臨まれるお考えなのか、御所見をお伺いいたします。
次に、府庁組織が活気に満ちあふれ、職員一人一人がそのきずなを強め、より一層強固なものとし、その役割・責務を果たしていくために、府庁職員の待遇・給与についてどのようにお考えなのか、お伺いいたします。
今、ただされようとしている守屋事件を初め年金問題に代表されるように、不祥事に対する公務員バッシングが続いております。私も、問題の本質は、特定の政治家や一部の公務員の、あるいは組織としての使命感の欠如とも言うべき大変重大な問題だと考えますが、国・地方を問わず大半の職員の方々は、国家・国民・府民のためにという高い志と倫理観を持って仕事を進めていただいているのであります。
ところで、公務員バッシングの一つに高給批判がございます。特に財務省では、国の財政再建のためには地方交付税の削減が最重要課題であるとして、地方公務員の給与は国に比べて突出しているとのキャンペーンを展開しておられます。しかし、京都府民の安心・安全を願い、また京都府のさらなる発展を願って、知事を先頭に日夜奮闘いただいている府職員の給与は本当に高いのでしょうか。一般職員の給与は、人事委員会が府内民間事業所との精緻な比較を行った上で提出された勧告を踏まえて決定されているのであります。また、平成18年度からスタートした給与構造改革の取り組みを通して、給与水準の見直しが進められているところであります。職員の給与費については、給与費プログラムの推進に取り組まれているさなかであり、その総額をふやすことは厳に慎まなければなりません。問題は、その配分であります。職員数は毎年減少して、仕事は質・量ともに厳しくなる一方でありますし、反面、給与構造改革により給与は上がらない。こんな状態では、知事が幾ら「意識改革」を叫ばれても、職員に意欲を持って仕事に励めというのは、少々無理があるのではないでしょうか。確かに、公務員という仕事のやりがいは、給与だけでは推しはかることはできないと思います。
いずれにいたしましても、行財政環境が一段と厳しさを増す中で、職員の持てる力を最大限に引き出すことのできる、今の時代にふさわしい職務・職責、勤務実績に応じた給与制度を確立していくことが重要と考えるのであります。そして、こうした仕組みづくりが職員一人一人を一層奮い立たせ、ひいては府民サービスの向上につながることになると考えますが、知事の御所見をお聞かせください。
次に、「新京都府総合計画」に基づく府政運営についてお伺いいたします。
京都府では、平成13年に、「むすびあい、ともにひらく新世紀・京都」を基本理念に掲げた「新京都府総合計画」、いわゆる新府総が策定されたのであります。この新府総は、「20世紀が『ものの豊かさ』を追い求める余り忘れかけていた『人の心』の大切さを見詰め直し、自然を尊び、家族や隣人、地域、ふるさとを愛する気持ちや心をはぐくむこと」を基本とした、新しい世紀にふさわしい魅力ある京都府づくり、すなわち、「府民一人一人が夢を持ち、生き生きと暮らすことができる京都府社会」を築いていこうとする、21世紀の幕あけにふさわしいものでありました。
その後、平成14年に、山田知事は、心ある多くの府民の皆様の幅広い信託を得て知事に就任され、新府総に基づく京都府づくりに取り組んでこられたのであります。その間、自殺者の増加や児童虐待、不登校問題やひきこもりなど、私たちの社会は多くの新たな問題に直面するとともに、長期にわたる景気の停滞により、京都府財政は厳しい状況に追い込まれたのであります。新府総策定後の内外の情勢変化を踏まえて、平成17年3月に、取り組むべき課題や重点目標を取りまとめた「『人・間中心』の京都づくり5つのビジョン」、いわゆる中期ビジョンと、府民目線に立った税の有効活用を目指すための新たな財政健全化指針である「経営改革プラン」を策定されたのであります。
この中期ビジョンは、「学びと育み」「健やか長寿」「活力」「環境・文化創造」「安心・安全」の5つの視点から京都づくりを目指したものであります。当面する重点目標やその実現のための施策展開の方向を掲げており、現在、このビジョンを踏まえて、課題ごとに策定するアクションプランや、年度ごとの運営目標、次年度の予算編成方針などが策定されており、まさしく京都府施策の指針となるものであります。
また、「経営改革プラン」は、府民の視点から改めて京都府の果たすべき役割を見詰め直し、限られた資源をいかに効果的・効率的に活用するかという経営的な観点に立って、今後の行財政運営の具体的方策を示したものであります。府職員の意識改革を進めながら、府政の透明性を確保し、府民の皆様とともに経営改革を進めるための道筋を示すものであります。
「中期ビジョン」及び「経営改革プラン」は、本格的な地方分権時代を迎えて、地域の活性化に向けた地方自治のあり方を見据えつつ、知事の地域づくりのビジョンを示されたものと評価するものであります。
ところで、私は、プランというものは、策定後に、進捗状況の把握、成果の検証、評価を行うとともに、必要な場合には見直しを行い、常に時代のニーズに対応した府政の基本姿勢を示していくことが大切だと考えるのであります。
そこで、お伺いいたします。
知事は、これら2つのプランについて、進捗状況や現時点での評価をどのように考えておられるのか。また、これらの評価を踏まえつつ、新府総の計画期間は平成22年までであり、残すところ3年となる中で、今後の府政運営について、どのように臨まれるのか。さらに、将来にわたる基本姿勢について、どのような形で示そうと考えておられるのか、知事の御所見をお聞かせください。
次に、府立の大学改革についてお伺いいたします。
府立の大学改革については、9月定例議会において、法人化のための定款や評価委員会設置条例を議決したところであり、今後は法人の運営内容などについて議論を進めていくことが重要であると考えるのであります。私はこれまで、文教常任委員会に籍を置き、委員として大学改革に関する議論に参加をしてまいりました。昨年に開催した政策研究のための常任委員会では、山岸府立医科大学学長、竹葉府立大学学長にも出席を願い、大学のあるべき姿について、根本的なところから意見を交わし、議論を深めてまいったところであります。議論の大きな柱は、大学の教育理念や基礎研究の重要性についてであります。
私は、大学が法人化したことによって、長い期間を見据えて取り組むべき教育・研究がおろそかになるとは思いませんが、府の財政支援である運営費交付金の仕組みや中期目標の内容によっては、短期的に成果の見える教育・研究に集中し、純粋に理論や知識を追求する基礎研究が弱体化するのではないかという懸念が残るのであります。府立の大学は、京都に貢献し、成果を府民に還元するという使命を持っていることは申すまでもありません。こうした地域貢献のための実用的な研究も、しっかりとした基礎研究があればこそ花開くものであり、基礎研究が弱体化すれば、大学の地域貢献自体もその基盤を失い、厚みのないものになってしまうと思うのであります。
法人設立のための定款が議決され、平成20年4月に予定される法人化を前にして、改めて、こうしたすぐには成果のあらわれないと言われる研究、すなわち基礎研究をどのように考えておられるのか。また、設立母体である京都府として、これらがおろそかにならないよう、どのような支援や誘導をしていこうとされているのか。知事の御所見をお伺いいたします。
また、法人と府議会の関係についてお伺いいたします。
法人の運営費の大半は、これまでと同様、府が財政支援をしていくことになります。法人運営に対する府議会の制度的なチェックも、授業料などの知事認可、定款や中期目標の作成・変更等には議会の議決を要し、そのほかにも議会が報告を受けるべき事項もありますが、公立大学法人と府議会の関係は必ずしも明確ではありません。これまでの両大学は、府の地方機関として、常任委員会や予算・決算特別委員会に出席要求理事者として学長や大学事務局長が出席して、答弁をされてきたところであります。このようなことを通じて、府議会としても、大学との意思疎通が図れたのではないかと考えるのであります。
法人化されると、従来の形は継続できないことになると思われますが、私は、何らかの方法で法人の実情を議会が把握し、意思疎通を図っていくことが必要と考えるものであります。公立大学法人という新しい制度がスタートするに当たり、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、京都市との協調、いわゆる府市協調についてお伺いいたします。
府市協調は、古くて今なお新しい課題であります。「京都市民も京都府民」という当たり前のことが、府市協調の基本的な立場を表明するフレーズとして使われていることが、ある意味、この問題の複雑さを象徴してきたのではないかと思うのであります。確かに、政令指定都市は、道路行政や保健所行政を初め、府県の持つ多くの権限を有していることから、市民の皆様方からは、京都府の姿が、存在が見えにくいと思うのであります。また、一方で、介護保険制度や障害者自立支援法など福祉の分野では、従来、政令指定都市の権限であったものが府県の権限として吸い上げられるなど、必ずしも指定都市の権限強化への一方通行だけではないことも、指定都市と府県との関係をわかりづらくさせていると思うのであります。
さて、私は、京都市との関係をめぐっては、特に次の2点について課題があると考えるものであります。まず第一点は、周辺市町との連携であります。京都市は、政令指定都市として確かに大きな権限を有しているわけでありますが、かつて制度化された「特別市」のように、府県から独立した市ではないのであります。道路交通網や環境、防災など広域的な行政課題について、周辺市町との連携は不可欠なのであります。第二点は、京都府と京都市との、いわゆる二重行政の問題であります。女性センターなどの施設関係や、伝統産業を初めとする中小企業施策、文化施策などに重複があるとされているのであります。
そこで、総務部次長を京都市域担当に任命されるなど、京都市との協調に積極的に取り組んでいただいておりますが、まず初めに、府市協調についての基本的な考え方と知事就任以来の府市協調の成果について、知事の御所見をお伺いいたします。
先ほども申し上げましたが、「京都市民も京都府民」であるという厳然たる事実がありながら、京都府から京都市への支援が市民の方々にはわかりにくいという面があります。また、財政規模が、京都市と府内の他の市町村と比べた場合、突出しており、実際に財政規模を見れば京都府の財政規模と双璧であるという点からも、京都府から京都市への支援がいささか少ないのではないかといった議論がなされてまいりました。
しかしながら、京都市内の小・中学校の教員の人件費は京都府が負担しているものでありますし、府内にある26の警察署のうち半数の13署が京都市内に設置されているものであり、京都府の京都市民の方々への支援は多大なものがあるのでございます。また、今年度拡充されました子育て支援医療費の市町村への助成については、これまでの京都市とその他の市町村間であった格差が是正されるなど、まさに「京都市民も京都府民」であるとの認識のもと、京都府政が運営されているのであります。
これまでの府市協調の取り組みを踏まえ、今後具体的に前進させるべき取り組みについて、山田知事はどのようにお考えなのか、御所見をお伺いいたします。
次に、教育問題についてお伺いいたします。
戦後60年の時を経て、教育基本法が改正され、まもなく1年が経過いたします。この間、学校教育法など関連する法律も改正され、現在、国においては、教育振興基本計画の策定、学習指導要領の改訂、さらには新年度に向けた教育関係予算の編成など、まさに仏に魂を吹き込むべき議論が進められているのであります。
申すまでもなく、「人づくり」は「国家百年の大計」であります。日本は、資源に乏しい小さな島国でありながら、この「人づくり」によって世界に冠たる地位を築いてまいりました。しかし、ゆとり教育を柱とする教育改革を余りにも性急に導入したために、「学力低下への懸念」が国民的な関心事になったことはぬぐい切れない事実であります。この反省を一つの契機として、今年度から国による小・中学生の全国的な学力調査が実施され、去る10月にその結果が公表されました。
私も、その概要を拝見いたしましたが、その中でも特に小学校6年生の調査結果に注目するものでございます。今回の調査対象となった6年生は、平成14年度に入学した子どもたちであります。折しも、京都府では、この年から小学校1年生を対象とした2人の先生による指導が始まったのであります。さらに、この子どもたちが3年生になった年から、小学校3年生以上を基本とした選べる少人数教育、いわゆる京都式の少人数教育が導入されたのであります。まさに、今回の学力調査の対象となった子どもたちは、京都式少人数教育の申し子そのものであり、その調査結果は非常に重要であると考えるものであります。今回の結果は、京都式少人数教育の成果を示すものであり、今後の教育のあり方を探る一つの材料になるものと受けとめるのであります。
そこで、教育長にお伺いいたします。
今年度の「まなび教育推進プラン」において、京都式少人数教育をより一層充実するための検討が行われているところでありますが、我が会派は、今回の学力調査の結果も踏まえ、さらなる充実策の実現に大きな期待を寄せております。今後の施策充実に向けてどのように取り組んでいかれるのか、御所見をお聞かせください。
また、山田知事におかれましては、中期ビジョンの頭に「学びと育み」を掲げ、京都府づくりはまず人づくりからとの意気込みをあらわしていただいております。教育施策の充実に最大限の御支援をいただきますよう要望いたしまして、私の質問を結びます。
御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
14:
◯議長(
家元丈夫君) 山田知事。
〔知事
山田啓二君登壇〕
15:
◯知事(
山田啓二君) 近藤議員の御質問にお答えいたします。
近藤議員におかれましては、ただいまは会派を代表されまして、私の行政運営に対し高い評価をいただきまして、厚くお礼を申し上げたいと思います。
まず、来年度の予算についてでありますけれども、基本は、府民生活の安心・安全の確保を最優先に取り組んで、その上に、京都の将来を見据えてパワーアップを目指すというような施策を講じていきたいというふうに考えております。特に、少子・高齢化に伴います福祉、教育、地域間格差の問題や、雇用の安定、中小企業対策、さらに地球環境問題など、京都府民の皆様が直面している多くの課題に対しまして、府民の皆様と支え合って乗り切っていきたいと考えており、今年度、御指摘のように、全国に先駆け実施いたしました地域力再生プロジェクトやセーフティネットの確立を中心に、中期ビジョンに基づく施策を力強く推進していきたいというふうに思っております。
そして、こうした基本的な施策を講じますとともに、府民の皆様があすに希望の持てるよう、京都が誇る伝統文化や環境に対する府民の皆様の思い、さらに、農林水産業を含めたものづくりの大切さなどを生かした京都らしい取り組みを、焦点を絞って取り組んでいきたいというふうに考えております。特に、既に今議会にも提案させていただいておりますけれども、伝統産業の復権にもつながる源氏物語千年紀事業や外相サミットも生かして、京都の発信力を高めていく事業についても取り組んでいきたいというふうに考えております。
しかし、財政事情を考えますと、こうした事業は多分ソフト事業が中心にならざるを得ないというふうに考えておりまして、公共事業につきましては、新規はやはり学校・病院・警察など府民生活に直結するものが中心に据えられるだろう。そして、それに既に着手をしております基幹的な事業や安心・安全のための事業を着実に推進していく形になっていくのではないかなというふうに思います。そのためには、先ほどからお答えしておりますように、やはり経営改革プランに基づく徹底した改革を進めていかなければ、これは府民の皆様のニーズに対応することは難しいのではないかということで、行政改革にもさらに全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに思っております。
これから予算編成が本格化してまいりますけれども、国で議論されている例えば道路特定財源の暫定税率が、もしも今年度末に期限切れを迎えてしまいますと、それだけで百数十億円を超える大幅な歳入欠陥が生じることが予想されます。それだけに、交付税の削減や社会保障関係経費の増大という厳しい財政事情の中で、とにかくできる限り柔軟に対応できるような執行体制も、私は片方で考えていかないと乗り切れないかなというふうに思っておりまして、そうしたものも心がけながら、「安心・安全、希望の京都」づくりに向け、議会の皆様の御意見を呈して諸施策を推進していけるよう、全力を挙げたいというふうに思っております。
次に、府職員の給与についてでありますけれども、一般的に、公務員は働いても働かなくても同じ給与が保障されるからよいなどという批判を受けることがありまして、府民視点に立った地方分権型社会の転換を図るためにも、頑張った職員がきちんと報われるような給与制度の確立は、私は当然のことではないかなというふうに思っております。しかしながら、公務員というのは、民間企業のように利益や売り上げなどを基準で評価できるものではありませんし、また、地味な縁の下の力持ちの役割を懸命に果たしている職員にも適切に報いていかなければならないということを考えますと、簡単に評価というものが考えられるものではないというのも事実だというふうに思っております。
ですから、人事委員会の勧告という客観的な手法を基本に、その上に、職員の皆様が発揮した能力や実績、努力をできる限り客観的に適正に評価する人事評価をつくっていきたいということで、今、取り組みを進めているところでございます。特に、新評価につきましては、多くの人の評価を求めることによりまして、一面的にはならないよう、上司や本人、部下からの360度の人事評価を通じまして、できる限り公平性・透明性を保っていきたいというふうに考えてございます。
御指摘がありましたように、片方で給与が伸びない、そして地方交付税も人員削減を前提とした削減をされておりますので、府民生活を守ろうとすればするほど、やっぱり人員の削減というものもしていかなければできない、どうしようもない、こういう中で仕事はますます厳しくなるということで、本当に職員の皆さんはきつい条件の中で、私は頑張っていただいているというふうに思っております。
ただ、一方では不祥事なんかもありますので、私たちは、やはり国民、住民の奉仕者という観点から公務員を志したという、そういう志をしっかりもう一回確認して頑張っていきたい。そして、それを私も含め一人一人の職員がもう一回自分の胸に問いながら、これは府民の皆様も苦しいわけですから、そうした思いを共有できる中で、意欲が高められるように頑張っていきたいというふうに思っておりますので、どうか議会も職員を一層励ましていただきますようお願い申し上げたいというふうに思っております。
次に、新京都府総合計画に基づく府政運営についてでありますけれども、新府総を着実に実現するため、府民の視点に立ち、社会・経済情勢の変化を踏まえまして、平成17年3月に「中期ビジョン」と「経営改革プラン」を策定いたしまして、施策を推進してまいりました。本年6月に、これらの進捗状況を公表しましたけれども、大体97%の施策や取り組みに既に着手を2年間にしておるわけでございます。そして、こうした施策を府民価値の観点から効率的・効果的に実施できるように、本年6月に「京都府行政評価委員会」を設置いたしまして、外部評価をいただいておりまして、評価結果を委員会から1月に公表いただく予定にしております。
新府総の計画期間もあと3年となる中で、その着実な実現にこれからも全力を挙げていきたいというふうに思っておりますけれども、こうした変化の激しい時代にありまして、新府総のような長期計画といいますのは、事業を700幾つ上げておりますけれども、やはり概して抽象的にならざるを得ないものが多いのが事実であります。このため、今後は、やはり長期的には、府が将来目指すべきビジョンというものを掲げ、それをお示しした上で、それを具体化する取り組みにつきましては、社会・経済の変化に対応できるように具体性のある中期の計画として示すことが、府民の皆様の理解を得る上でも私はベターではないかなというふうに考えております。
一方、これからの府政運営の基本理念や原則につきましては、私は、やはり府民全体の合意形成というものがもっと必要ではないかという観点から、議会での十分な議論をいただき、その上で、最終的には議会の議決を得ていただくような形が私は望ましいというふうに考えておりまして、例えば、これからの京都の自治のあり方や行政運営のあり方などを示す条例というような形式についても検討を開始したいと考えております。
次に、府立大学の大学改革についてでありますけれども、府立の大学は、京都府の知の拠点として、質の高い教育・研究を実施することにより、高度の専門的な知識を備えた人材を育成していく、これがやっぱり一番大きな目的であります。そして、その上で、研究成果の活用等を通じて、地域社会はもとより国内外の発展に寄与することが目的でありまして、法人化は、こうした目的を大学が一層自主的に、かつ柔軟に、将来を見据えて教育・研究が行われる、そういった環境を整備するために行うものであるということであります。ですから、研究内容につきましては、まず大学が、その使命等を踏まえて、できる限り自主的に決めていくことが私は重要であると考えております。
そして、これまでの改革の過程で両大学とも議論を重ねてまいりましたけれども、基礎研究はすぐには成果があらわれないものの、大学の教育・研究の基盤となる研究であり、府立の大学として、中長期的な視点から、基礎研究をおろそかにしないことにより府民や社会の幅広いニーズにこたえていくことが、両大学の思いであるというふうに私も考えております。このような思いを具体化する方策の一つとして、両大学と京都工芸繊維大学の3大学が、学際領域や関係する学部の連携も進めながら、基礎研究の厚みを増していく取り組みも行われているわけであります。
ですから、京都府といたしましても、こうした大学の考え方を尊重していくのが、まず私どもの基本的な立場でありまして、その中で、大学が運営のために利益ということに走らざるを得ないようなことのないように、中期目標の内容や運営費交付金の仕組みを十分検討して、取り組みを着実に支援していきたいというふうに考えております。
府議会との関係についてでありますけれども、法人化後は、授業料の上限や重要な財産の処分などの知事認可、定款や中期目標の作成・変更等には議会の議決を要しますし、そのほかにも各事業年度の業務実績評価の議会報告など、制度上、議会の関与は私は今よりも具体的で濃いものになってくるというふうに考えております。したがいまして、こうしたことを踏まえれば、大学と議会との意思疎通をより円滑にしていくことは必要でありますし、今まで以上に大学と議会が直接向き合っていくことが私は必要ではないかなというふうに考えておりますので、どのような形がよいのか、大学とも連携をいたしまして、府議会とも相談させていただきたいというふうに考えております。
次に、京都市との協調についてでありますけれども、京都市は京都府の核となる都市であるだけに、京都市抜きの京都府というのは考えられませんし、また、今、行政課題が広域化していることや、都市の発展が周辺との有機的連携の中で初めて実のあるものになることを考えますと、京都市に対する京都府行政の役目も大変重要であるというふうに考えております。何よりも、御指摘のとおり「京都市民は京都府民」であることを考えれば、府と市はお互いに協力をして、よりよい住民サービスを提供するためのパートナー関係であり、府市協調は京都の力を最大限に発揮するためには不可欠なことと考えております。
このため、知事就任以来の京都市関連の事業は、ほとんど府市協調で行うことを前提にしておりまして、商工では、中小企業向けの借換融資等の協調融資、「京都・花灯路」等の観光客誘致、福祉では、乳幼児医療費助成や障害者自立支援法に対するセーフティネットの構築、教育では、京都式少人数教育、安心・安全では、「子ども・地域安全見守り隊」の設置や防災協定の締結、市内警察署等の再編整備、土木・交通では、山陰本線の複線化や京都高速道路整備などなど、簡単に申しますとあらゆる分野で本当に協力関係がありまして、私は、いろんなところを見てまいりました経験から申しますと、都道府県と政令市の関係では間違いなく全国でもベストだというふうに思っております。
京都に来られた行政関係の方々も、まず驚くのは、府市協調という言葉がここでは基本になっているということは、京都以外の方は本当に驚くんですよ。それほど、やっぱり府市協調はできているというふうに考えております。もちろん、いろいろ権限が重なってくる部分やそれぞれの目的の部分で、それは切磋琢磨していく部分がありますから、その中で議論をしていかなければ、これはよりよいものにならないと思いますので、しっかりとした切磋琢磨、議論、そして協調・連携が必要であります。これからも、そういった中で、文化や環境の問題や地域力の再生の問題、そしてさまざまな少子・高齢化から来る施策について連携・協力をして、また、京都市と周辺市町村との連携強化の観点からも、広域的な視点に立った基盤整備も一緒にやっていきたいというふうに思います。
府市協調をあえて言わなければならない関係は、まだまだと言われる方もありますけれども、この言葉をみんなで繰り返してきたからこそ、全国でも進んだ協調が行われていることは紛れもない事実でありますので、私は、今後とも、この合い言葉のもとに、京都の発展のために府市協調で尽くしてまいりたいと考えております。
16:
◯議長(
家元丈夫君) 田原教育長。
〔教育長
田原博明君登壇〕
17:
◯教育長(
田原博明君) 近藤議員の御質問にお答えいたします。
京都式少人数教育についてでありますが、より一層充実した施策とするため、「まなび教育推進プラン」について、去る9月府議会に中間案をお示しするとともに、パブリックコメントも実施しながら、議会や府民の皆様からの御意見をいただいてまいりました。その多くは、一律的な少人数学級編制によらない柔軟な京都式少人数教育に対する高い評価や、少人数教育の効果を学校全体に広げられるよう一層充実してほしいという声など、中間案の内容を歓迎する御意見であり、京都式少人数教育の充実に対する賛同や大きな期待を実感したところであります。
こうしたことを踏まえ、今議会に御報告させていただくプランの最終案には、現地・現場の判断を重視し、京都式少人数教育を一層柔軟な方法で推進することを基本に、「市町村教育委員会の教員配置の裁量の幅を広げる」ことや、「30人程度をベースに35人くらいまで幅を持った学級編制が可能な人員を確保するよう、年次的に充実する」といった重点施策が盛り込まれております。
府教育委員会といたしましては、今後、さらに府議会の御意見をお聞きしながら、プランの最終報告を踏まえ、学校のさまざまな状況に柔軟かつ効果的・丁寧に対応できる新たな方策を次年度から実施できるよう全力で取り組んでまいります。
18:
◯議長(
家元丈夫君) 次に、林正樹君に
発言を許します。林正樹君。
〔林正樹君登壇〕(拍手)
19:
◯林正樹君 公明党議員団の林正樹でございます。私は会派を代表いたしまして、さきに通告しております数点につき、知事並びに関係理事者に質問いたします。初めての代表質問でありますが、よろしくお願い申し上げます。
議長のお許しをいただき、質問に入ります前に一言、政務調査費に関し申し述べます。
先日、平成18年度の会派及び議員に支給された政務調査費に係る住民監査請求に対する監査結果が出ました。我が会派及び所属議員の使途において、一定目的外支出と判断されたことは、一部の点で見解の相違と思うところもありますが、我が会派としては、今回の監査結果を真摯に受けとめるとともに、その内容を精査し、今後、事務手続上の不備の修正、さらなる透明性の確保、使途基準の明確化を図り、適切な支出に努めてまいります。しかしながら、結果として府民の皆様に公金の支出に関し不信感を与えたことに対して、衷心よりおわび申し上げる次第でございます。
それでは質問に入ります。
まず第一点目は、府民と行政のパートナーシップ型社会の構築についてお伺いします。
京都府が抱えるさまざまな課題解決の重要なかぎを握るのが、府民への啓発、府民との協働、そして府民の参画であります。具体的には、府民と行政をつなぐ広報・広聴活動であり、さまざまな分野での取り組みにおける府民とのかかわりのあり方です。
京都府は、府民だより、ホームページ、各種メディアによる広報など、さまざまな手段を講じて府民に開かれた府政を推進しているところであり、情報公開や説明責任が果たせるよう、パブリックコメント制度の導入、メールマガジン「きょうとほっと情報」の配信、府民総合案内・相談センターの設置、また「知事と和ぃ和ぃミーティング」「知事へのさわやか提案」の実施などに取り組んでおられます。しかしながら、府民の方々と意見交換する機会に寄せられる意見の多くは、やはり「府政が何を行っているのかよくわからない」という声であります。
実際、京都府が行っているさまざまな府民向けの取り組みにおいても、さきに述べた広報・広聴活動のほか、リーフレットを作成して配布する、シンポジウムやセミナーを開催する、街頭啓発活動を行うといったものが多くありますが、こうした行政の働きかけが、府民全般に行き渡っていないケース、府民の意識や行動とうまくかみ合っていないケースなど、まだまだ埋めがたいギャップがあると考えます。
府民の総意を集約し、また協働していくための手法は時代によって変わってきているとの認識に立ち、よりよい制度や方策の構築について、より柔軟で斬新的な発想のもと、結果志向で実効性のある取り組みをしていかなければならないと考えます。そして、府民がどのような情報を求めているのか、何を発信しているのかということを、ずれることなく常に把握していく手段もさらに強化すべきであります。
例えば、府内のデジタル格差をどう解消していくのかという重要な問題は別途対応していく必要はありますが、現在、2011年7月の完全移行に向けて導入されている地上デジタル放送が持つ、いつでも、どこでも情報を手に入れることができるというオンデマンドの特性、また、いわゆる双方向サービスと言われるインタラクティブ性を活用し、データ放送を軸に京都府と住民が情報を受発信していくシステムを構築していくことも、特に若い世代の府民へのアプローチとして検討すべきであると考えます。
そこで、知事にお伺いします。住民と行政のパートナーシップ型社会の構築を推進していくに当たっては、まずもって、より一層の広報・広聴活動の充実が必要と考えられますが、まず、これまで取り組んでこられた広報・広聴活動等の評価についてお聞かせください。
また、受発信力を強化していくためにも、例えば地上デジタル放送のデータ放送活用なども視野に入れた新しい情報受発信の取り組みについて、御所見をお聞かせください。
第二点目に、感染症対策についてであります。
まず、HIV・AIDS対策であります。
去る12月1日、世界エイズデーのこの日、日本、そして世界各地でエイズに関するさまざまなイベントが開催されました。エイズが歴史の表舞台に出てきて30年足らずと短期間ですが、1981年に症例が報告されてわずか10年で、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染者数は100万人を突破し、2006年末現在、国連合同エイズ計画と世界保健機関の統計によれば、世界でHIVに感染している人は約4,000万人と、世界人口の1%に迫る勢いであり、2006年の1年間で400万人前後が新たにHIV感染者として判明し、エイズによる死亡者も約290万人に上ると推計されています。
厚生労働省エイズ動向委員会の発表によれば、我が国における本年7月から9月までの3カ月間に報告されたHIV感染者数は274人に上り、2期連続で最多を更新しました。感染者数の男女内訳では男性が圧倒的に多く、年齢別内訳では20代から30代の若者が7割近くを占めているものの、40代も2割近くを占めています。ここ京都でも、統計をとり始めた昭和60年から平成18年までの累計で、HIV感染者数が114人、エイズ患者が51人に上っており、昨年の数値は、いずれも過去最多を示しています。全国的にも京都でも、昨年は過去最多の数値が出ているわけですが、これはHIV検査件数が増加したことに伴うものでもあり、これまで顕在化していなかったHIVの感染実態に徐々に近づきつつあることも意味しています。
他方で、HIV検査を受けた段階で既にエイズを発症している新規患者、いわゆる「いきなりエイズ」が約3割を占めており、これがエイズ対策上大きな問題となっています。「いきなりエイズ」は、エイズ発症者が早期発見や発症抑制に係る早期治療の機会を逸してしまっているという本人の問題のみならず、HIVに感染してからエイズを発症するまで通常数カ月から10年程度かかりますが、この間ほとんど症状が出ないため、自分が感染していることを知らないまま、結果としてHIV感染を拡大させてしまっている可能性が高いことを意味するからです。
現在、日本のHIV感染者数は、報告されているだけで1万人に達していますが、検査を受けていない人数も考慮すれば、実態は表に出ている感染者数の3倍から7倍に上るとも指摘されています。先進7カ国のうち日本だけが感染者及びエイズ患者が毎年増加傾向を示しているとも言われており、実効性のある具体的な施策の展開が急務であると考えます。
私は、世界で最も深刻なエイズ問題を抱えているアフリカで6年近く勤務する中で、悲惨かつ深刻なエイズの実態を目の当たりにしてまいりました。また、エイズ問題に関する現地調査を行い、エイズ対策プロジェクトの策定・実施に携わってまいりましたが、その経験からすれば、日本の社会は、まだまだエイズに対する認識や危機感に乏しく、偏見や差別が根強いこともあり、この問題に真正面から取り組んでいないことを痛感いたしますし、現状のまま5年、10年たつとどうなってしまうのかと強く懸念しています。
平成19年の厚生労働白書に記載のエイズ予防指針平成18年改正では、これまで不明確であった国と地方公共団体との役割分担を明確にし、都道府県を中心とする地方公共団体が、普及啓発及び教育、検査・相談体制の充実、医療提供体制の再構築を担うとしています。京都府は、普及啓発及び教育においては、本年も6月1日からの1週間、HIV検査普及週間を設け、また、エイズボランティアの募集、養成研修を行うなどしており、検査・相談体制についても、保健所等で相談を受け付け、2週間程度の所要日数がかかる従来の検査のほか、即日検査、夜間検査なども行っております。また、医療提供体制についても、府下10病院をエイズ治療拠点病院として選定していますが、より一層の取り組み強化が必要であると考えます。
そこで、知事にお伺いします。今後のHIV感染拡大の動向を考えれば、教育現場でのエイズ教育をさらに充実させるとともに、普及啓発等施策の実施におけるNGOとの連携を強化するなどして、特に若者に対する啓発活動を盛り上げていく必要があります。検査・相談体制においても、保健所での相談・検査の回数をふやすとともに、2週間程度かかる従来検査よりも1時間程度で結果が判明する即日検査の回数を充実させる、拠点病院での検査を推進するなど、より一層の拡充が求められていると考えます。医療提供体制についても、拠点病院のさらなる充実を図るとともに、連絡協議会の設置等による、拠点病院と一般病院間での情報共有・連携強化をしていかなければなりません。これらの点を含め、拡大の一途をたどるエイズ問題の対策について、今後どのように取り組みを強化していくのか、御所見をお聞かせください。
次に、新型インフルエンザ対策等の感染症対策についてお伺いします。
21世紀は感染症の世紀と言われるように、近年、エイズのみならず、SARS、高病原性鳥インフルエンザ、エボラ出血熱のような、強力な感染症が世界各地で発生しています。また、明年ここ京都でサミット外相会合の開催が予定される中、細菌やウイルスがテロに使われる、いわゆるバイオテロへの備えについても、その緊急度が高まっており、府民の生命を守る責務ある京都府として、これまで以上に感染症対策を充実させていく責務があると考えます。
特に高病原性鳥インフルエンザは、世界的な流行と散発的な人への感染発生が継続しており、2007年3月現在で、発生国12カ国、患者数288人、うち死者170人となっているなど、次の新型インフルエンザ出現が強く懸念されています。世界保健機関では、新型インフルエンザ流行の危険度を6段階に分類しており、現在は鳥から人に感染する第3段階にあるとしていますが、今後、人から人へと感染する第4段階、新型の感染が拡大する第5段階、そして、社会で大流行し、多数の人が感染する第6段階へと進むことが予測されます。
京都府が平成17年度に作成した「京都府新型インフルエンザ対策行動計画」によれば、第6段階に入り、感染力が中等度の新型インフルエンザに全人口の25%が罹患すると仮定した場合、外来患者数で30万人弱から50万人強、入院患者数で4,000人から1万人程度、1日最大入院患者数も2,000人に上ると推計されるなど、深刻な事態が想定されており、過去の新型インフルエンザ大流行の際に起きた医療提供機能の低下を初め、社会機能や経済活動にさまざまな混乱が予想されます。
本年10月、国が「新型インフルエンザ対策行動計画」を改定したことから、京都府においても行動計画の改定を行うとともに、不測の事態への事前準備や初期対応が迅速に行える機動的な体制づくりに取り組まれることと思いますが、新型インフルエンザ対策においては、水際対策、公衆衛生対応、医療対応、社会対応など、総合的な対策を講じなければならないと考えます。
特に、府民の生命を守るため、また拡散防止のための社会対応には、個人及び企業などが十分な知識と自覚を持ち、みずからの問題として対策を講じることが重要であることから、個人、一般家庭、地域、事業者・職場に対するガイドラインの提示や、情報提供・共有、啓発活動などを推進すべきであります。また、感染症対策を防災対策などと同様、いつでも起こり得るリスクとして認識し、自衛策を講じることができるようにしなければなりません。京都府では、府内各地で新型インフルエンザの発生を想定した各種訓練を実施していますが、府民も参加する、より総合的な感染症対策訓練を行うなどして対策を強化していくべきであると考えます。これらの取り組みは、新型インフルエンザのみならず、新しい感染症への対策、またバイオテロ対策のためにも重要であると考えます。
そこで、知事にお伺いします。京都府の新型インフルエンザ対策行動計画やガイドラインの改定に向けた現在の取り組みはどうなっているのでしょうか。社会対応の観点から、関係機関との連携や府民への啓発はどのように行う予定なのか、また、感染症対策に係る総合訓練の実施など、実効性のある具体的な取り組みをお考えかどうか、お聞かせください。
第三に、障害のある人の雇用についてお伺いします。
障害者の職業的自立支援は、京都府が率先して取り組んでいくべき重要な課題であると考えます。現在、京都府は、「障害者就労支援プラン」を策定中であり、「(仮称)はあとふるジョブカフェ」の設置に向けた取り組みを含め、法定雇用率の早期達成と実雇用率2%を目標とする総合的な取り組みを積極的に推進する方向です。このプランが所期の目的を達成できれば、障害のある人が希望に応じた就労の場を地域に根差して
選択できることになると、府民の一人として高く評価するとともに、障害者週間に当たり、同プランの具体的な実施に向けて、議会の一員として全力で取り組んでまいりたいと私も決意しています。
さて、障害者雇用について、特に、一般就労を希望しながらも厳しい雇用状況にある、そしてこれまで取り組みがおくれがちであった知的障害・精神障害のある方の雇用には、福祉的就労から一般就労への移行も含め、より一層の支援強化が急務であると考えます。また、雇用のミスマッチを解消するためにも、未達成企業の雇用拡大をさらに積極的に働きかけるべきですし、例えば、企業側の雇用を前提条件に、企業の人材ニーズに応じた職業訓練を障害者が受けるといった形も含めた、きめ細やかな取り組みが必要だと考えます。
私にも苦労して就労した知的障害のある、おばがいます。かつて彼女は、職場での作業中に指を切断するという大けがをしたことがありましたが、障害のある人が職場でそうした痛ましい事故に巻き込まれることがないよう、専門家が職場環境を事前に実地確認するなどの事故防止・安全対策も講じるべきであると考えます。
障害のある人への就労支援については、各行政レベルで業務・事業が重複しないよう、国、市町村と調整しながら連携を図っていく必要があると考えますが、同プランの実施は、障害者就労支援のモデルを京都に構築する先進的な取り組みになるものと確信いたします。
そこで、知的及び精神障害者への就労支援の強化、雇用先を一定確保した上での一貫した職業訓練・就労支援、事業者への事故防止・安全対策なども含め、「京都府障害者就労支援プラン」実施に対する知事の御所見をお聞かせください。
四点目は、発達障害児に関する支援であります。
文部科学省は、平成17年5月現在で、義務教育段階の全児童生徒数1,089万人の6.3%程度に当たる約68万人が、学習障害、注意欠陥多動性障害、高機能自閉症等の発達障害児であるとしています。平成17年4月1日に「発達障害者支援法」が施行され、本年4月より特別支援教育の法律や枠組みが整理される中、国、京都府、市町村の各行政レベルでの発達障害に関する施策が進められています。
京都府においては、京田辺市の府立こども発達支援センター内に発達障害者に対する支援を行う中核的拠点としての発達障害者支援センターを設立し、本年10月29日より運営を開始するとともに、府内6圏域ごとに、発達障害に係るコーディネートを行う圏域対策センターを開設しています。また、平成18年度から小・中学校に約100名の非常勤講師を配置し、本年度からは府立特別支援学校に専任コーディネーターを配置して、地域支援センターを開設するなどして取り組んでいます。
発達障害児の支援体制については、まだまだ課題が山積しているものの、一定程度整備されたことを踏まえ、私は、次のステップとして、早期の発見と療育を促し、幼児期から支援のケアを受けることができる体制の整備、具体的には5歳児健診の全面実施を検討する段階にあると考えます。
乳幼児健康診査は、母子保健法第12条及び第13条の規定により市町村が乳幼児に対して行っており、現在、乳幼児、1歳6カ月児、3歳児、その後は就学前となっています。しかし、3歳児健診から就学前健診までの期間の長さは、発達障害の早期発見・早期療育においては大きな溝となっており、現行の健診体制では十分に対応できていません。発達障害は対応がおくれると、それだけ症状が進むと言われています。また、仮に就学前健診で発見されても、親がその事実を受け入れるのに時間がかかって、適切な対応・対策を講じることなく子どもの就学時期を迎えてしまうため、状況を悪化させてしまっているという現状もあります。
厚生労働省による平成18年度研究報告書によれば、鳥取県の5歳児健診では9.3%、栃木県では8.2%もの児童が発達障害の疑いがあると診断されたものの、こうした児童の半数以上は3歳児健診では何ら発達上の問題を指摘されておらず、報告書の結論として、現行の健診体制では十分に対応できていないとしています。発達障害者支援法は、国、都道府県、市町村の役割として、発達障害児に対して、発達障害の症状の発現後できるだけ早期に発達支援を行うことが重要であることから、早期発見のために必要な措置を講じることと定めています。こうした状況を踏まえ、健診の実施主体である市町村と協議して、5歳児の早期発見・支援体制を構築し、保護者の相談に応じながら、個別支援の必要がある子に手厚く支援する仕組みなど、具体的な早期発見・早期療育のための措置を講じるべきであると考えます。
そこで、お伺いします。既に京都府の一部地域においても、早期発見・早期療育を目的とした5歳児健診等のモデル事業を展開しているところでありますが、一生を通じて一貫して支援できる体制づくりという観点から、国・市町村と連携し、5歳児健診の全面実施を通じた早期発見・早期療育体制を構築することが重要と考えますが、知事の御所見をお伺いします。
五点目は、いじめ問題であります。
先月、11月15日、文部科学省が公表した平成18年度の問題行動に関する調査結果で、全国の特殊教育諸学校を含む国公私立小・中・高校が認知した「いじめ」は、前年度に比べると6.2倍増加し、12万5,000件であったことが明らかになりました。これは、昨年、いじめによる自殺者が相次いだことを受け、平成18年度から、いじめの定義を被害者の気持ちを重視する形に変更したこと、これまで教師を対象に行っていた調査を児童生徒にも直接聞く方法に変更したこと、いじめの基準を発生件数から認知件数へと変更したこと、今回の調査から国立や私立学校も対象に加えたことなどの理由から、6.2倍の増加という衝撃的な数字になったと言えます。京都府においても、平成17年度のいじめ発生件数は、小学校54件、中学校70件、高校29件、特殊教育諸学校1件、計154件であったものが、平成18年度のいじめ認知件数は、小学校で417件、中学校334件、高校160件、特殊教育諸学校20件、計931件と実に6倍強となりました。
今回の調査方針の転換によって、これまでの調査がいかに現場の実態からかけ離れたものであったか、そして、いじめに苦しむ児童生徒をどれだけ放置してきたかということが明らかになりました。しかも、現場の教員に聞くと、今回の調査にはまだまだ改善すべき点が多く、必ずしも現場の声を把握し切れていないとの指摘もあります。今後も、調査の方針が問題隠しや件数減らしといった方向に転じることがないよう、いじめの現場にいる児童生徒の側に立ってその声を聞いていく、現場主義に徹した実態調査が行われるよう切に要望するものです。
そこで、今回の調査結果をどう受けとめておられるのか、また、今後の調査方針はどのようなものとしていくのか、教育長の御所見をお伺いします。
さて、京都府はこれまでも、スクールカウンセラーの配置、教育相談事業の充実、24時間電話相談など、いじめ問題に対する対策を講じてきましたが、私からは、さらなる対策強化のため、2つの取り組みに言及したいと思います。
まず、以前に我が会派の山口議員からも提案があった、第三者機関による「(仮称)いじめレスキュー隊」設置の検討です。学校の中だけ、また、学校と教育委員会、保護者だけでいじめの解決に努力しても、関係者間にしこりが残り、なかなか思うような解決に至らないのも現実です。そこで、「いじめられた」「いじめに気づいた」ときに、だれでも安心して相談でき、公平に当事者の話を聞いた上で、最後まで児童生徒に寄り添って問題解決に力を発揮する「第三者」が必要と考えます。子どもや親などからのSOSに瞬時に対応し、まず「いじめられている子」を守り、孤独感、疎外感から解放し、その後、学校関係者と、いじめる側、いじめられる側との仲立ちをしつつ、最終的には、子ども同士の人間関係、きずなの回復を図ることを目的とするものです。
現在、神奈川県川崎市や兵庫県川西市では、第三者機関を設置して一定の成果を上げていますが、この機関には、調査権限・勧告権限・制度是正への提言などの権限が付与されており、法律専門家、教育福祉専門家、NPO代表者、研究者などが担当しているとのことです。京都府においては、これまでも多角的ないじめ問題対策を展開しておりますが、いじめの広範な実態が明らかになりつつある現況を踏まえ、より一層の取り組み強化が求められると考えます。
そこで、「(仮称)いじめレスキュー隊」など第三者機関の設置について、教育長の御所見をお伺いします。
次に、いじめを未然に防止するという予防教育的な発想から取り組む手法として「ピース・メソッド」があります。これは、オーストラリアの「いじめ防止プログラム」であるピースパックを参考に開発されたもので、準備、教育、行動、対処、評価の5段階のステップの中で、子どもの課題について教職員の共通認識をつくり出し、共通の目標設定をし、計画的・継続的に子どもに働きかけていく、子どもや保護者の協力も得ていくという形で1年以上にわたる取り組みを行うものです。
これまでに、茨城県、大分県、また最近では京都市の一部の中学校が取り組んでいるほか、新潟県教育委員会でも、平成11年度に、このピース・メソッドに基づく「いじめ防止学習プログラム」を作成し、翌12年度には、全県下の小・中学校で取り組めるよう普及を図っています。こうした新潟県の取り組みも参考にし、市町村の各教育委員会と連携を図りながら、ピース・メソッドに基づく「いじめ防止学習プログラム」を義務教育の早期の段階から導入できるよう、京都府の支援策を講じていく必要があると考えますが、教育長の御所見をお聞かせください。
あわせて、今後の京都府のいじめ問題に対する取り組みについて、御所見をお伺いします。
最後に、未成年者への携帯電話有害サイト対策についてであります。
近年、インターネットの利用が日常化している一方で、未成年者が、いわゆる出会い系サイトに代表されるインターネットの有害情報にアクセスし、事件やトラブルに巻き込まれる事例が多発しており、未成年者の安心・安全なインターネット利用への緊要性は一層高まっています。
総務省の平成19年版情報通信白書によれば、携帯電話によるインターネット利用状況の平成15年末から平成18年末までの推移は、小学生に当たる6歳から12歳で5.3%から37.1%、中高生に当たる13歳から19歳で48.9%から74.1%と、いずれも急激に増加しており、携帯電話によるインターネット利用の低年齢化が進んでいます。また、平成15年9月、いわゆる「出会い系サイト規制法」が施行されましたが、出会い系サイトに関係した事件の被害者のうち18歳未満の人が、平成18年で1,153人、被害者全体の8割強を占めています。また、18歳未満の被害者が出会い系サイトにアクセスする手段としては、携帯電話が実に96.6%を占めており、18歳未満の被害のほとんどは携帯電話からのアクセスがきっかけとなっています。
昨年12月以降、携帯電話会社3社は、未成年者が使用する携帯電話を購入する際には、保護者の同意書にフィルタリングサービス(有害サイトへのアクセス制限サービス)の利用意思確認欄を設けており、情報更新時・機種変更時にもフィルタリングを推奨しています。こうした取り組みもあって、先日発表された電気通信事業者協会の調査では、フィルタリングサービスの契約が児童生徒の3人に1人に上るとされています。ただ、これは、裏を返せば、携帯電話を所有する7割近くの児童生徒は、いまだに有害サイトに自由にアクセスできる状態にあるということも示しています。これらの調査結果からわかることは、私たち大人の想像をはるかに超えて、未成年者が、残虐サイト、アダルトサイト、自殺サイト、出会い系サイトといった有害環境に無防備にさらされているということであります。
京都府は、これまでも、青少年育成条例の改正、条例に基づく携帯電話取扱店への立入調査、「携帯電話の有害情報から子どもを守ろう!京都キャンペーン」や各種フォーラム開催等による啓発運動の実施など、多角的な取り組みを実施しています。しかしながら、さきに述べたような深刻な現況に加え、匿名性が高く手口が巧妙化しているネットを通じたいじめ、いわゆるネットいじめが急増している状況も踏まえれば、児童生徒に対する情報モラル教育をより一層強化するべきであると考えますが、まずこの点につき、教育長の御所見をお伺いします。
また、児童生徒が有する情報通信技術や携帯電話に関する知識や能力が高いため、教員・保護者のそれがついていけていないこと、認識が低いこと、どうすればよいのかわからないことも極めて重要な問題です。そのためにも、実際の教育現場で情報モラル教育を行う教員への講習を強化するとともに、現場の教員で対応できない場合には、情報通信技術に精通した専門家や携帯電話事業者の協力も得て、情報モラル教育を実施することも考えなくてはなりません。
また、この問題で最も大きな課題となっているのは、保護者の認識が低いことにあると言えます。例えば、父親の63%、母親の80%が、フィルタリングについて「知らない」と回答しているという内閣府の調査もありますが、子どもの自主性に任せる放任型、子どもにせがまれてフィルタリング設定を解除する甘やかせ型、子どもの携帯電話利用に関心を持たない無関心型など、保護者の認識の低さが、結果として子どもが有害サイトにアクセスしてしまう状況をつくり出しています。実際、PTAの役員をされている方々にお話を伺っても、現場での保護者に対する講習や啓発運動には、まだまだ改善の余地があります。こうした保護者への講習や啓発運動を、PTAの協力なども得ながら全面的に展開し、家庭での情報モラル教育にまで推し広げていくことが重要であると考えます。
教育現場向け「情報モラル指導資料集」サイトや、保護者向け「家庭で話そう!情報社会のルールとマナー」を作成、提供するなど、これまでも教員・保護者に対する取り組みを行ってこられましたが、さらなる情報モラル教育進展のため、教員・保護者に対して今後どのような取り組みを行うのか、さきの点とあわせ教育長の御所見をお聞かせください。
以上をもちまして、私の代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
20:
◯議長(
家元丈夫君) 山田知事。
〔知事
山田啓二君登壇〕
21:
◯知事(
山田啓二君) 林議員の御質問にお答えいたします。
まず、パートナーシップ型社会の構築についてでありますけれども、府民ニーズにこたえ、府民本位の府政を推進するために、「府民との情報の共有」「府民参画」「府民協働」の3つの理念に基づき取り組みを進めておりまして、その中で府民参画行動指針におきましても、広報・広聴活動を、府民への説明責任を果たし、開かれた府政を実現するためのものとして位置づけてまいったところであります。
広報活動につきましては、その上で、府政情報をさまざまな人たちに対して多様な情報
ツールでお届けをする、府政の情報をわかりやすく解説する、そして府政への参画を促進する、お届けし、理解していただき、府政にどうぞという形が一番大きな目的ではないかなというふうに思っております。
具体的には、府民だよりにつきましては、ページ数をふやして、親しみやすい紙面づくりに工夫を凝らしておりまして、これは大臣賞を受けたところでもございますけれども、さらに、京都市内ではポスティングに変更いたしまして、すべての世帯にお届けをするようにしている。また、ホームページにつきましても、これも賞を受けたところでございますけれども、中期ビジョンや財政状況を初め、あらゆる府政情報を掲載いたしますとともに、だれもが情報を探しやすくなるようにリニューアルいたしまして、現在、月700万件ぐらいのアクセスがありますし、学生や若い世代に対しましても、メルマガや雑誌などによる広報も展開しているところであります。
また、広聴活動につきましても、府民の皆様のもとに出向き、直接対話の中で自由な意見交換と府政への理解促進に努めることを基本に、「和ぃ和ぃミーティング」や出前語らい、さらには専門職員派遣など、顔と顔がしっかりと見える形での意見交換を実施してまいりました。そして、何でも気軽にお問い合わせいただけるよう、府民総合案内・相談センターにつきましても、都道府県では初めて開設をいたしたところであります。
この結果、府政情報の提供や、行政と府民の双方向の交流は進んできているところはありますけれども、やっぱり何よりも必要なのは、そのもとになる府政自身がしっかりと府民の皆さんに見える事業を展開していかなければ、幾ら広報・広聴をやってもわかりづらいのではないか。先ほどもお話をしましたように、垂直型でやっていたのではだめで、地域力再生のように本当に水平で、みんなが協力し合いながらやっていくような事業へと府政を転換していくことが、本当の意味での広報・広聴活動を実のあるものにするのではないかなというふうに私は思っております。
それから、地上デジタル放送のデータ放送機能の活用についてでございますけれども、本年5月から、府民の関心の高い河川砂防情報、防災・防犯メール情報などをリアルタイムに提供するとともに、将来を見据えまして、催し物を初めとした身近な府政情報も放送事業者へ提供しております。さらに、2011年の地上デジタル放送への完全移行や、視聴者の通信環境の整備に伴いまして、双方向のサービスは大変有効でございますので、今後、地上デジタル放送を初め高度情報通信基盤を活用した情報共有を積極的に検討し、進めていきたいというふうに思っております。
次に、エイズ対策についてでありますけれども、エイズ患者・感染者は20歳代から30歳代を中心に増加しております。ところが、エイズに対する怖さとか関心は、一時期に比べまして若者の間で本当に薄れているような感じがしておりまして、気づかないうちにいきなりエイズ発症という最悪の事態が広まるのではないかと危機感を抱いております。このため、若年層に対して、予防方法や早期治療の必要性等について啓発をいたしますとともに、検査機会の確保等が必要でありますので、医師会はもとより、教育委員会やNGOとも連携した幅広い取り組みが、今、求められていると思います。
これまで、予防啓発といたしましては、大学生を中心に養成いたしましたボランティアが、「紅紐(べにひも)」という名前でございますけれども、これを結成いたしまして、府としても、学生祭典などの啓発活動を支援しておりますし、また、NGOと協働いたしまして、公開講座や男性同性愛者向けの相談等も実施をしております。保健所におきましても、即日検査を実施しておりますし、今年度には夜間検査を導入いたしますなど、検査体制の充実を図ってきたところであります。治療につきましては、拠点病院10カ所の連絡会議、カウンセラー派遣などを通じて、医療の提供と人材の育成に努めているところであります。
この12月は府のエイズ予防月間でありますが、これに対しても、さらに重点的に取り組むために、府庁の第1号館に入っていただくとわかりますけれども、エイズに対する理解と支援を示すレッド・リボン運動を受付のところで展示するとともに、8日・9日には、若年層に対する啓発として、「紅紐」による京都駅前でのパネル展示等の街頭活動や公開講座も計画しておりますし、また、教育委員会と連携して、すべての高校におきましてエイズ教育を実施しております。さらに、これから、医療水準の向上を図るために、速やかに中核拠点病院を指定いたしまして、研修や医療情報の提供を行い、連携も強化してまいりたいと考えております。
今後とも、予防から治療に至るまでの総合的なエイズ対策を引き続き推進してまいりたいと考えております。
次に、新型インフルエンザ対策についてでありますけれども、現在、東南アジア諸国を中心に鳥インフルエンザの人への感染が広がっており、インドネシアでは人から人への感染を疑う事例も報告されるなど、新型インフルエンザの発生のリスクは確実に高まってきております。
京都府におきましては、SARSや鳥インフルエンザの経験を踏まえまして、17年末に府行動計画を策定いたしまして、タミフルの備蓄、模擬訓練の実施、それから、医師等の専門家から成る対策専門家会議の意見を踏まえ、京都市と共同で搬送から入院治療に至る医療体制等を確保するためのガイドラインを本年2月に策定するなど、体制整備を行ってまいりました。さらに、議員御指摘の個々の府民や事業所などにおける対応も重要でありますので、こうした視点を盛り込んでガイドラインを改定することとしておりまして、例えば、食料や日用品の備蓄、それから、初期診断を実施する発熱外来の設置、ワクチンの接種体制につきまして、今、最終調整を関係機関とも行っております。
そして、その上で、このガイドラインに基づきまして、市町村や地域の中核病院を取り込みました、発症から入院に至るまでの連携の確認など実効性のある模擬訓練を実施するなど、できる限り迅速かつ的確に対応できるよう、これからも取り組んでいきたいと思っておりますし、市町村とも連携いたしまして、広報紙やホームページを活用し、周知徹底を広げていきたいというふうに思います。
また、この問題は、やはり広域的に広がっていく可能性が強い問題でありますので、国に対しましても、発生時の空港や港湾における検疫体制の強化ですとか、高度医療体制の確保、そして感染防護資機材の整備などを引き続き強く求めてまいりたいと考えておりまして、こうした民間病院から市町村、京都府、国のしっかりとした連携体制のもとに、感染症対策を進めてまいりたいと考えております。
次に、障害者雇用の促進についてでありますけれども、障害のある人も生きがいを持ってできる限り普通に働ける世の中をつくりたい、ノーマライゼーションの考えのもとに、私も京都府づくりをしてまいりたいと考えております。そのために、障害者の方々がさまざまなその置かれている状況に応じて働くことのできる就労環境づくりを進めるために、「ゆめこうば支援事業」の実施やITを活用した在宅就労支援、そして今年度から、障害のある方々が働く施設での就労を支援し、工賃水準の引き上げを図るための「ほっとはあと製品」応援事業を開始しておりますし、カタログ通信販売やインターネット販売の活用などによる販路の拡大に向けた準備も、今、進めているところであります。
また、企業の障害者雇用につきましては、先日公表されました本年6月1日現在の京都府内の民間企業の障害者雇用率は1.71%と、昨年を0.07ポイント上回り、これまでで最も高い率になってまいりまして、大都会の中では非常に高い率を達成しつつあるというふうに考えております。しかしながら、その一方で、達成企業の割合を見ますと、まだ半分に行かない状況がありますので、そうした面からすると、これからの確保・拡大に向けましては、企業へのさらなる働きかけが不可欠だというふうに考えております。
このため、京都府では、御指摘のありましたように「障害者就労支援プラン」を策定いたしまして、法定雇用率の早期達成と、さらなる雇用の確保・拡大を図る取り組みを推進することにしております。
このプランを踏まえまして、来年度には、労働、福祉、教育等で構成する庁内プロジェクトを設置し、京都府が総合的・一体的に取り組むこと。そして、京都ジョブパークに「はあとふるジョブカフェ(障害者就労支援コーナー)」を設置し、ここを拠点に、相談から訓練、職業紹介、定着支援までのきめ細かな支援に取り組んで、体制をつくり上げていきたいということ。そして、知的障害や精神障害のある方の雇用を促進するために、高等技術専門校での職業訓練などの充実を新たな取り組みとしまして、今、予算編成に向けて検討を進めているところであります。その中で、私どもといたしましては、さらにこういうことを予算編成の中でやっていくとともに、企業向けに対しましても、安全に作業できる環境づくりの研修強化なども含めて、まさに一人一人の障害をお持ちの方々が、その態様や状況に応じて希望を持ちながら働くことのできる環境づくりに向けて、これからも全力で取り組んでまいりたいと考えております。
次に、発達障害のある子どもへの支援についてでありますけれども、未来を担うかけがえのない宝であります子どもたちが健やかに育つことができるよう、私どもはしっかりと支えていくことが必要だというふうに思っております。このため、6月議会において「京都府子育て支援条例」を制定させていただきまして、相談・支援体制の充実など、総合的かつ計画的な施策の推進を図っているところであります。特に発達障害児につきましては、対人関係やコミュニケーションなど、社会生活への適応が難しい場面が多いわけでございますけれども、御指摘がありましたように早期療養が大きな成果を上げる場合も多いわけでありまして、子育て負担の問題も含めて、早期発見・早期療育の体制づくりが、まず必要であるというふうに考えております。
京都府では、これまでにも、支援の拠点としての発達障害者支援センターの開設、府立こども発達支援センターの診療・療育、地域療育等支援事業での相談・健診等を実施してまいりました。さらに、発達障害は保育所や幼稚園など集団生活の中で顕在化する事例も多いので、いち早く福知山市において、保育園児等を対象とする発達障害児早期発見・早期療育のモデル事業を実施してまいりました。これにより、集団生活上の問題行動の軽減など、5歳児での早期発見・早期療育に効果のあることを私どもは確認しております。
現在、このモデル事業の成果も踏まえまして、事業のあり方について、市町村の意見も聞いているところでありまして、私どもといたしましては、国に対しても、こうした成果を踏まえまして、しっかりとした財源の確保や、医師、臨床心理士の養成・確保について要望をしていくとともに、今後、具体的な施策として実施していけるように、今、検討を進めているところであります。
今後とも、子どもたちが健やかに育つように、しっかりとした体制づくりに私どもも全力を挙げてまいりたいと考えております。
22:
◯議長(
家元丈夫君) 田原教育長。
〔教育長
田原博明君登壇〕
23:
◯教育長(
田原博明君) 林議員の御質問にお答えいたします。
いじめの問題についてでありますが、いじめはどの学校にも、どの子にも起こり得る問題であり、調査によって明らかとなった件数の多少にかかわらず、これを解決し切るべきものとしてしっかりとらえ、その根絶に引き続き取り組まなければならないと考えております。そうした視点から、今後の調査におきましても、御指摘のとおり、いじめられた児童生徒の立場に立って、より実態に即した把握に努めるよう、引き続き市町村教育委員会にも指導してまいりたいと考えております。
議員御提案の「いじめレスキュー隊」の設置につきましては、まず、いじめられている子どもを守り、子ども同士の人間関係やきずなを回復する上での新しい取り組みであり、今後、外部の人材の活用も含め、研究を進めてまいりたいと考えております。
また、現在、各学校においては、いじめを見落とさない、相談しやすい環境づくりに努めるとともに、御紹介の「ピース・メソッド」と同様の考え方に立って、学校内に組織的な体制をつくり、学校全体で計画的にいじめの問題に対応するシステムを構築するなどの取り組みも進んでいるところであり、さらに深めていきたいと考えております。
今後は、事後の指導だけでなく、生徒会等を中心とした子どもたちの主体的ないじめ撲滅に向けた取り組みをさらに広めるとともに、子どもたち自身の中に、人の役に立ち認められる喜び、他者に対する配慮や責任感といった、いじめを抑止する心を育てるため、学級や学年を超えた異年齢間でのさまざまな体験活動を充実させるなど、いじめを起こさせない根本的な取り組みについても推進してまいりたいと考えております。
次に、情報モラル教育についてでありますが、子どもたちがインターネットや携帯電話を通して有害情報に接する機会がふえ、最近では、メールや掲示板など、ネットを通じたいじめの問題も生じており、情報モラルの育成が大きな課題であると考えております。このため、毎年策定しております「指導の重点」において、発達段階に応じた指導目標を新たに示すとともに、学校ですぐに活用できる指導資料集を作成し、情報モラルの指導の充実に努めてきたところであります。
今後、各学校でより実践的な取り組みが充実するよう、より安全な環境の中でメールやチャットについて学ぶことができる機能を備えた児童生徒向けサイトを、今年度中に開設したいと考えております。
また、議員御指摘のとおり、情報モラルの育成には、教員の指導力を高めるとともに、保護者にも理解を深めていただくことは極めて重要であります。このため、初任者研修や情報教育指導者研修において、情報モラルの指導力を高める講座を開設しておりますが、来年1月には、先進的な取り組みを行っている外部の専門家を招いたセミナーを開催すべく準備を進めているところであります。
一方、保護者の理解促進や家庭でできる取り組みを普及するため、PTAの指導者研修会等で啓発資料を配付するとともに、インターネットの「安全講座」や携帯電話事業者を招いた「ネット安全教室」等を実施しております。
今後は、こうした取り組みがより一層広がりのある大きなものとなるよう、知事部局、市町村教育委員会、PTAなどの関係団体と十分連携を強め、しっかりとした情報モラルの育成に取り組んでまいりたいと存じます。
24:
◯議長(
家元丈夫君) この際、暫時休憩いたします。
午後3時31分 休憩
────────────────────
午後3時53分 再開
25:
◯議長(
家元丈夫君) 休憩前に引き続き会議を行います。
次に、巽昭君に
発言を許します。巽昭君。
〔巽昭君登壇〕(拍手)
26: ◯巽昭君 自民党の巽昭でございます。本日の質問の機会を与えていただきました先輩、そして同僚議員の皆さんには本当に感謝をしながら、通告をしております5項目について、知事並びに関係理事者にお尋ねをしたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。
まず、医師確保対策についてお尋ねいたします。
地域医療に従事する医師不足問題については、平成16年度から導入された新医師臨床研修制度の影響や、若手医師の意識の変化により、府北部地域を中心に依然として深刻な状況にあります。府民の生命と健康を守るためには、こうした地域医療を取り巻く現状に対処し、安心して適切な医療を受けられる地域医療を確保することが何よりも大切であります。このため、将来にわたり地域での適切な医療が提供されるよう、地域に勤務する医師を確保するための対策が急務となっております。
京都府においては、奨学金制度の創設や、女性医師や退職医師の再就業支援など、さまざまな独自対策を積極的に講じられているところであり、府の施策が医師確保につながることを大いに期待するものではありますが、以前から知事も言われておりますように、医師不足は全国共通の構造的な問題でもあり、国レベルでの抜本的な対策が強く求められているところであります。
こうした中、国は、本年5月に政府・与党が発表した緊急医師確保対策の一環として、地域における医師不足の現状に対応するため、大学医学部の入学定員を各都府県で最大5人(北海道は15人)ふやすことを可能とするとともに、これらの学生には知事が指定する医療機関で9年間勤務することを返還免除の条件とする奨学金の設定を都道府県に求める仕組みを創設すると伺っております。
この大学医学部の入学定員の増員による医師確保対策は、卒業までに最低6年間かかるため、効果があらわれるのはしばらく先になるといった課題もありますが、医師確保が困難な地域に医師を供給する有効な手段であり、積極的に対応する必要があると考えますが、本府として、今後どのように取り組まれるお考えなのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、入札制度についてお伺いいたします。
昨年度の3県の知事をめぐる不祥事を踏まえて、全国知事会から、公共工事を初め公共調達に係るシステム全般を見直し、入札談合、とりわけ官製談合の根絶に向けて取りまとめた「公共調達改革に関する指針」が出され、これを受けて、京都府においても、本年度から、公平性、透明性、競争性を確保するための入札契約制度の改革が進められてきたところであります。
しかしながら、全国的な公共事業の減少傾向や制度改革による競争の激化に加え、原油価格が大幅に高騰するなど、建設業界を取り巻く環境がますます厳しい状況にあります。最近の入札の状況を見ると、落札率が大幅に低下しており、地元企業の疲弊や工事の品質や安全確保について大変懸念をしております。このような状況を踏まえ、全国知事会の中でも、行き過ぎた制度で地域産業が崩壊し、ひいては地域が疲弊することを懸念する声もあり、最低制限価格の引き上げなど地方独自の制度を実施している県もあります。
建設業は、地域によっては、その地域の基幹となる産業であります。府北部地域、特に私の地元・丹後地域につきましては、1人当たりの分配所得の指標が府平均の3分の2程度しかない中で、建設業は地域の経済や雇用を支える大きな役割を果たしてまいりました。災害時の緊急対応など、府民の安全・安心や日常生活を確保する上でも大きな役割を果たしてきたのも、地域の建設業であります。
丹後地域が台風23号で甚大な被害を受けたことは皆さん御承知のとおりですが、それ以降の平成18年の7月豪雨、10月の高波においても、国道178号が崩壊・決壊し、通行どめになるなど、常に災害と背中合わせの地域でもあります。また、言うまでもありませんが、丹後は雪の多い地域でもあります。きのうも雪が、あられが降っておりました。通勤や通学など日常生活の利便性の確保だけでなく、お年寄りの方などが病院や福祉施設へ通う足の確保にとっても、まだ夜が明けない時間からの除雪作業は欠かせないものであります。また、突然の降雪に対応するため、降雪期間は常時早朝待機されるなど、こうして丹後地域の住民の安全・安心を支え、地域の生活を守るために大きな支えとなってきたのは、そこで暮らし、そこで働く地域の建設業であります。
山田知事におかれましては、このような事情も十分勘案いただき、さきの決算特別委員会総括質疑において、我が会派の植田議員の質問に対し、「府民の安心・安全確保に貢献できる地元の企業を育てていくことが必要であり、そのために、府民の安心・安全確保と工事の品質確保を両面から評価できる新たな仕組みとして『総合評価方式』を検討していきたい」と御答弁をいただいたところであります。
公共工事を初め公共調達については、公平性、透明性、競争性を確保することはもちろんですが、過当競争での品質の低下防止、現場での安全性の確保、工事現場周辺住民への配慮など、公共工事の本来の使命も忘れてはなりません。地域力を再生するための配慮も欠かせず、そのためには、地域産業の核となっている建設業の育成という観点からも、地域の建設業が失望することなく、地域力向上に貢献できる優良な企業が存続し、育っていく土壌づくりが必要であると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
また、公共工事の発注に当たっては、建設業の育成という観点も含めて、地域力再生のための配慮をした、新たな仕組みとしての「総合評価方式」の試行などに取り組んでいただいておりますが、総合評価方式の基本的な考え方、今後の見通しについて、お伺いをいたします。
次に、京都縦貫自動車道及び鳥取豊岡宮津自動車道についてお伺いいたします。
京都縦貫自動車道につきましては、本年度より丹波-綾部間を新たに京都府道路公社で取り組むこととされ、国と一体となって、平成26年度内の完成を目指し整備が進められているところであり、早期供用開始に大きな期待を寄せるものであります。また、綾部宮津道路のETC整備につきましても、本年6
月定例会での山田知事の英断により進められることとなり、また、9月の補正予算においても所要の予算措置を講じていただき、本当に大きな期待を寄せております。
そういった中、11月17日の京都新聞に、平成20年度の政府への府の要望として、京都縦貫自動車道に関する新たな制度の提案が掲載されておりました。これは、府北部地域の振興のために、道路特定財源を原資とした国の無利子の資金を京都府道路公社に貸し付けることにより、京都縦貫自動車道の通行料金を値下げできないかという、今までにない新たな提案であり、関心を持って見守っているところであります。
この通行料金値下げの新たな制度提案につきましては、道路特定財源のあり方が議論されている現状で非常に難しいとは思いますが、先般国へ要望された際の感触並びに今後の見通しについてお伺いいたしたいと思います。
続いて、鳥取豊岡宮津自動車道について質問いたします。
鳥取豊岡宮津自動車道は、京都縦貫自動車道と一体となって、府北部地域と兵庫県但馬地域、鳥取県東部地域を結び、京都縦貫自動車道とともに府北部地域にとりまして重要な高速交通ネットワークであります。北部に暮らす者として、鳥取豊岡宮津自動車道は地域力の再生に向けて三つの道と言うことができます。一つは、自立への道。地理的条件の厳しい北部地域にとりまして、地域活性化への希望の道であります。名神高速道路、第二京阪道路、京奈和自動車道、近畿自動車道との連結により、産業振興、観光振興などさまざまな効果が期待され、まさに自立への道ということが言えます。二つ目には、命の道。先ほども質問しましたように、医師不足を初めとした課題に対応し、丹後医療圏の充実を図っている中で、高次医療施設へのアクセスとして、命を守る大変重要な道であります。三つ目には、安全・安心の道であります。この鳥取豊岡宮津自動車道は、現在、国道312号のバイパスとして整備が進められています。現国道312号は、幹線道路でありながら地域の生活道路ともなっております。このため、通過交通と地域交通が混在し、危険箇所が多数指摘をされています。また、台風や地震など災害時の緊急避難・救助・物資輸送などに重要な役割があります。実際に、平成16年に府北部に甚大な被害をもたらした台風23号の災害時、多くの幹線道路が被害を受け、通行どめになったときも、京都縦貫自動車道はびくともせず、救助活動に物資輸送に大きく貢献をしました。まさに安全・安心の道でありました。
このように早期整備に対する地域の期待が高まる中、去る10月13日には、兵庫県豊岡市で、京都府・兵庫県・鳥取県の3府県はもとより、京都府から鳥取県までのすべての沿線市町の参加のもと、整備促進大会が盛大に開催され、3府県そろって早期完成を強力に推進する決議がなされました。高速道路はネットワークとしてつながって初めて十分にその効果が発揮されるものであり、そのためには3府県の連携が非常に重要であると考えます。
そこで、鳥取豊岡宮津自動車道について、まず3府県の整備状況と連携の取り組みについてお伺いをいたします。また、あわせて、府域における今後の整備の見通しについてお伺いをいたします。
ここまで3点よろしくお願いを申し上げます。
27:
◯議長(
家元丈夫君) 山田知事。
〔知事
山田啓二君登壇〕
28:
◯知事(
山田啓二君) 巽議員の御質問にお答えいたします。
まず、医師確保の問題でありますが、本当に、新たな臨床研修制度の導入が、これは引き金を引いてしまったというような感じがしておりますけれども、医師の地域・診療科による偏在、とりわけ北部地域での医師確保問題の顕在化は、地域に大変深刻な状況をもたらしているというふうに思います。
このため、京都府といたしましては、今年度、医師バンクの充実、地域医療を担う若手医師の育成、医療体制の整備を3本柱として、関係市町村、大学、医療関係者と連携しながら、まさに府政の重点施策として、積極的な強化を御存じのとおり行ってまいりました。しかし、医師不足は全国共通の問題でもあり、また、医師育成に係る根本的な問題点がありますので、国において抜本的な対策を講じるよう提案・要望してまいりましたが、その中で今回、一定の条件のもと、医学部の入学定員の増員が認められることになりました。
京都府といたしましても、この問題の深刻さから、でき得る限りの措置を講じるべきである、そういう考えのもとに、今年度創設した奨学金制度も活用し、平成20年度は府立医大において3名の定数をふやすとともに、この3名は京都府内の出身者等から選抜するという地域枠を設けて実施するよう要請したところ、極めて限られた時間の中で、学内調整やプログラム作成に府立医大が取り組んでいただいた結果、本日、地域枠も定めた学生募集要項を公表する予定であります。時間が余りなく、受験生にも大学にも負担をかけますけれども、これからの地域医療を目指す若者の積極的な京都府内からの応募を期待しているところであります。また、平成21年度以降は、府立医大と京都大学と調整の上、さらに2名の増員を予定しております。
今後とも、市町村とも連携し、引き続き医師確保対策に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、入札制度改革についてでありますが、一連の都道府県知事の不祥事を反省し、全国知事会を中心に各府県が入札改革に取り組むことを申し合わせる中、京都府におきましても、本年4月から、競争性、透明性の高い入札制度を目指して、一般競争入札の拡大、応札可能者数の拡大、電子入札の全面実施などを推進してまいりました。
こうした全国的な制度改革と、国・地方の財政難による公共工事の減少が同時に進む中で、競争が激化し、落札率が大幅に低下する傾向にあります。このことは、税金の無駄を抑えることからすれば大きな効果があるわけでありますけれども、一方で、過当な競争が工事の品質や安全管理をおろそかにするような結果を招くことになれば、これは長期的に見れば、かえって府民にとって不利益な状況を招くだけに、私はその中身を慎重に検討していくことが必要であるというふうに考えております。
こうしたことから、入札に当たって、価格以外に、工事の品質確保や労働者の雇用の維持、建設機械の自社保有など、短期的な視点ではなく長期的な視点で、府民の安心・安全や雇用の確保につながるような点も評価することが求められていると考え、「総合評価方式」を本年11月から試行的に導入をいたしました。
この総合評価方式による入札につきましては、有識者の御意見もお聞きしながら順次手続を進めており、既に北部地域における工事を中心に17件の入札公告を行ったところであります。また、こうした入札制度の運用に加え、落札率の低下によって生み出された財源も有効に活用しながら、地域に密着した工事などをさらに拡充することによって、府民の安心・安全や地域の活性化につなげることが肝要であると考えており、来年度の予算編成に向けても、今、工夫を検討しているところであります。
これらの取り組みを通じて、今後とも、災害時の緊急対応や地域の雇用確保など、地域の安心・安全の確保と地域力の向上に貢献できる優良な企業が育つことを期待しております。
次に、京都縦貫自動車道の通行料金の値下げについてでありますが、現在、国においては、旧道路公団系の基幹的な高速道路の料金値下げのためにのみ道路特定財源の無利子融資が行われております。しかし、私は、道路特定財源は、基幹的な高速道路だけではなく、まさに疲弊する地域の生活を支え、また、今後の発展のために頑張っていく、そういう地域に力を与えるためにも、地方道路公社の道路に対しても同様の措置を講ずるべきであると考えております。
このため、京都府道路公社が建設・管理している綾部宮津道路及び丹波綾部道路にも通行料金の値下げができないかという提案を新たにしたところであります。提案の実現につきましては、今そういう枠組みはないことと、さらに、道路特定財源を取り巻く状況自身が厳しいこともあって、非常に難しい状況にありますけれども、そうしたものの必要性とかその大切さにつきましては、国におかれても、かなり理解を示していただいているところであります。それだけに、これからも、厳しい状況に置かれている府北部地域振興のために、国会議員の方々にもお願いしておりますので、ぜひとも府議会議員の皆様におかれましても、お力添えをいただきたいと考えておるところでございます。
次に、鳥取豊岡宮津自動車道についてでありますが、本道路は、丹後地域の活性化、地域力の再生、災害時の緊急輸送などに資するとともに、山陰・但馬・丹後地域を結ぶことにより、環日本海時代を担う重要な道路であります。しかし、本道路は地域高規格道路として主に3府県により整備しているために、整備スピードの面などに課題があり、完成もしくは整備中区間の延長割合が3府県とも3割弱程度となっており、日本海沿岸地域が国土軸として機能できない状況がこういった中にもあるというふうに考えておりまして、そうしたことが私は太平洋側に比べての地域間格差を生む要因にもなっているというふうに考えております。
このため、本年の8月末に、鳥取、兵庫と私どもで3府県の知事会議を初めて開催いたしまして、整備促進に向け協調した取り組みを行うことを確認し、10月に3府県で整備促進大会を開催いたしました。この開催につきましては、ちょうど私と兵庫県知事が同じ会合が東京と兵庫ということになってしまいましたので、私が東京へ参って、兵庫県知事が地元ということで兵庫に行くことになりまして、欠席をさせていただいたのは大変申しわけなかったのですけれども、私自身も先日、国に対する予算要望の中でも改めて整備を強く要望してまいりました。今後とも、3府県がしっかりと団結をして、整備促進を国に強く働きかけてまいりたいと思っております。
なお、府域における整備の見通しですが、宮津野田川道路6.4キロにつきましては、平成23年度の完成を目指して、トンネル・橋梁事業などの進捗に努めております。また、野田川大宮道路4.3キロにつきましては、現在、測量・設計業務に着手しており、今後、早期着工に向け、用地取得に全力を挙げてまいりたいと考えております。
29:
◯議長(
家元丈夫君) 巽昭君。
〔巽昭君登壇〕
30: ◯巽昭君 一点、御要望を申し上げたいと思います。
入札制度改革であります。
総合評価方式に大いに期待するものであります。知事は、東京一極集中、そして京都との、それから地方との格差をよく言われます。その上で、私は、京都市内と地域の格差、京都府内での格差の拡大に大きな危機感を感じております。山田知事は、振興局の再編に当たって、人口の割合にもかかわらず、丹後にも広域振興局を残していただきました。現地・現場主義、府内の隅々までしっかりと情報を集めて、的確な府政を運営しようとする本当のしっかりとしたあらわれだと感謝をいたしております。広域振興局と情報交換をしていただいて、地域力再生のための改革をよろしくお願いしたいと思います。
全国知事会での談合をさせない制度の構築、私はこの考え方は正しいと思います。一方で、地元の企業を育成する、そしてまた、それぞれの地域が、それぞれみずからの手で地域を守っていくという視点も忘れてはならないと思います。入札につきましては、公平性、透明性、競争性はしっかりと確保しながら、地元の企業がやみくもに疲弊することなく、工事の品質や安全の確保が構築できる、そんな総合評価方式になりますことに期待を申し上げておきます。
それでは、次に、府北部地域の産業活性化と人材育成についてお伺いいたします。
さきの6
月定例会でも、私の現状認識を申し上げました。丹後地域の経済情勢は、経済成長率や分配所得の指標、丹後ちりめんの生産数量など、いずれを見ましても大変厳しい状況にあり、まさに危機的な状況にあると言えます。こうした状況を脱却していくためにも、交通インフラの整備、観光振興、ちりめん産業の復興、機械金属業のさらなる躍進など、各種の対策を迅速かつ総合的に講じていくことが重要であると考えます。
こうした中、現在、京都府で進められております「北部産業活性化拠点・京丹後整備事業」につきましては、「人づくり」「仕事づくり」「サポート体制づくり」により地域産業の振興を図るというものであり、地元の期待も日増しに高まっております。北部産業活性化拠点・京丹後につきましては、6月府議会における私の質問に対して、知事からは「夢のある拠点づくりにしていきたい」という御答弁をいただきました。
私は、地域の中小企業や基幹産業における人材の確保、とりわけすぐれた技術人材の確保が最重要であり、人材育成のための取り組みについて、地元業界・団体を初め、地域の教育機関や訓練機関がしっかりと手を結び合う中で、一体的・体系的にこれを展開し、企業のニーズに真にこたえるものにしていくことが必要だと考えております。
そこで、京丹後拠点整備について、現在の状況、オープンの時期など今後の整備スケジュール、また、人材育成事業を初めとする関連事業の実施計画、将来方針について、知事の御所見をお伺いいたします。
繰り返しになりますが、人材育成のための取り組みは、地元業界・団体を初め、地域の教育機関や訓練機関が一体的・体系的に展開していくことが必要であります。そういった観点で見れば、これからの産業界を支える人材を育てる高校の職業学科が担う役割は非常に大きなものがあると思います。京都府では、峰山高校の工業科など、現在、商業や農業、水産など17校で職業系専門学科が設置され、それぞれの高校がすばらしい取り組みをされ、特色ある教育が展開されております。
そこで、お伺いいたしますが、今年度、「府立学校キャリア教育推進プラン」の検討をされておりますが、その中には「職業学科総括ホームページをつくり、職業学科同士の連携、販売を行う」とあります。これは、何をねらいとして、どのように進めていこうとされているのか、御所見をお伺いいたします。
さらに、このプランの中では、「『北部産業活性化拠点・京丹後』と連携を図り、地域の担い手を協同で育成する京都版デュアルシステムを研究」するとされております。新規学卒者が丹後を離れ、働き手の不足が顕著となるなど、構造的な課題を抱えている丹後地域にとりまして大きな期待をするところであります。
そこで、今回のプランに上げておられる京都版デュアルシステムについては、どのような取り組みを考えておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
最後に、警察問題について2点お伺いしたいと思います。
まず、警察署等の再編整備の効果についてお尋ねいたします。
平成16年12月に「警察署等の再編整備実施計画」が公表されました。その中で、警察署については、交番・駐在所では対応し切れない事件・事故、警察安全相談、防犯や交通安全活動等に主体となって取り組む、いわば地域における「安全・安心の中核拠点」であり、管轄区域内で発生した事件・事故に対する対応能力を向上させ、警察署の持つ中核拠点としての機能を充実・強化することとされました。
また、京都市域や府南部の警察署と比較して小規模警察署が存在する中北部地域にあっては、大規模または特異な事件や事故の発生に際して、警察署単独で迅速・的確な初期的対応体制を確立することが困難な状況にあることから、適切な人員規模を有し、事案対応能力にすぐれた警察署に整備することが必要とされ、京都市以外に位置する警察署のうち3から4警察署を実質的に廃止し、13から14警察署に再編することとされました。その結果、平成17年度には、私の地元であります京丹後市におきましても、網野警察署と久美浜警察署が廃止され、峰山警察署が新たに京丹後警察署として誕生しました。ほかに、警察署の名称変更・管轄変更を含めますと、今日までに27警察署が関係する再編整備がこの計画に基づき実施されたことになります。
そこで、今日に至るまで「警察署等の再編整備実施計画」に基づき再編が進められておりますが、京丹後署のことを含め、再編の効果はどうであったのか、警察本部長の御所見をお伺いしたいと思います。
次に、交通弱者を中心とした交通事故抑止対策について伺います。
これも私の地元の話でございます。去る10月12日、京丹後警察署管内においては、同じ日に2件の交通死亡事故が発生し、3名の方がお亡くなりになりました。一件目は、京丹後市峰山町内記の交差点において、原付バイクと普通乗用車が出会い頭に衝突する事故で、原付バイク運転の女性が亡くなられました。この交差点については、昨年の11月にも、普通乗用車の女性1名が亡くなっておられます。二件目の交通事故は、久美浜町野中の国道312号において、市内の女子中学生2名が陸上部の早朝練習に参加するため自転車で学校に向かっていたところ、トラックが対向車線から中央線を越えて衝突し、尊い命が奪われました。この女子中学生は陸上部のキャプテンと副キャプテンで、ともに長距離選手として御活躍をされていまして、丹後ブロック駅伝を楽しみに練習に励んでもおられました。御本人の無念さ、御遺族の方々の心情に思いをいたすとき、交通事故の悲惨さを改めて痛感するとともに、再びこのような事故を繰り返してはならないと強く感じるわけであります。
府内の交通事故の死者数については、本年10月末現在73名であり、前年対比マイナス25名ということで、御努力をいただいているわけでありますが、いわゆる交通弱者と言われる歩行者、自転車利用者を中心として、今後の交通事故抑止対策についてどのように考えておられるのか、お伺いいたします。
また、さきにも述べました交差点事故などを防止するためには、道路構造や交通量、人家の密集度、学校等の配置状況を総合的に検討し、安全な交通状況が確保されるような形で信号機の整備がなされていくことも必要であると考えますが、本府における信号機の設置状況及び設置方針をお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
31:
◯議長(
家元丈夫君) 山田知事。
〔知事
山田啓二君登壇〕
32:
◯知事(
山田啓二君) 「北部産業活性化拠点・京丹後」の整備についてでありますけれども、この拠点は、まさに御指摘のような地域間格差を是正するための施策の一つでありまして、北部地域の発展課題として一番指摘されてきた人材問題の解決に当たるために、「人づくり」を初め、地域の次代を担う新しい分野の「仕事づくり」と、これを支える行政の「サポート体制づくり」の3つの機能を整備しようとするものであります。
こうした拠点整備のためには、産学公の力の結集が不可欠でありまして、日本電産旧峰山工場を活用した全体整備構想を今年6月に取りまとめ、翌月には人材育成会議を設置するなど体制を整え、現在、地元では京丹後市が関連の公共下水道整備に着手するなど、取り組みを進めているところであります。
スケジュールにつきましては、現在、施設整備や設置機器等の詳細について検討を進めておりますけれども、地元の期待にいち早くこたえるため、来年春には拠点を一部開設し、地域の基盤技術の担い手育成のための研修事業や、地元企業による新分野開拓のための事業を開始、また来年秋ごろには、織物・機械金属振興センターを拠点内に移転し、技術の高度化や技術開発力を応援するための抜本的な機能強化を図り、その状況を踏まえまして、さらに第3段階として、設計・開発など、より高度なレベルの研修を実施してまいりたいということで、順次事業展開を図っていきたいと考えております。
さらに、長期的には、国内外に通じる鍛造などオンリーワン技術者の育成を初め、技能検定、資格取得につながる意欲がわく研修システムの構築や、長期滞在型研修の展開など、人材育成事業の一層の充実、織物や機械
金属分野の企画・デザイン力の支援の強化、観光産業の担い手育成や食品加工技術の開発支援など新しい分野への支援の強化、そして、地域の意欲ある企業者向けのインキュベート機能の強化などにも取り組んでまいりたいと考えております。
今後、地域産業活性化法に基づく国の支援も活用しながら、着実かつ段階的な整備を進め、北部産業の振興に全力で取り組んでまいりたいと考えております。
33:
◯議長(
家元丈夫君) 田原教育長。
〔教育長
田原博明君登壇〕
34:
◯教育長(
田原博明君) 巽議員の御質問にお答えいたします。
職業学科統括ホームページについてでありますが、全国初となるこの取り組みは、単に生徒が活躍する姿を紹介するだけではなく、生徒が主体的にこのホームページを運用することで、専門分野のスペシャリストを育成するとともに、より一層魅力ある職業学科にしていくことをねらいといたしております。具体的には、各学校がそれぞれの特色を生かしながら、生産、企画、宣伝、販売といった一連の活動を学校の枠を超えて協働で実践したり、地域の企業や商店とも連携した実習や生産物の販売などを考えており、先日、ホームページのデザインとネーミングについて、生徒みずからのプレゼンテーションによるコンペを行い、決定したところであります。
また、京都版デュアルシステムにつきましては、議員御紹介の「北部産業活性化拠点・京丹後」の持つ設備や技術者の技能等を活用しながら、高校生が施設で一定期間就業体験したり、企業関係者が学校現場でじかに指導するなど、学校と施設とが連携を図り、職業についての実際的・実践的な知識や技能を養うとともに、地域の産業界や社会が求める人材を協同で育成するという全く新しいシステムを研究したいと考えております。
今議会に、こうした重点施策を盛り込んだ「府立学校キャリア教育推進プラン」の最終案を報告させていただき、御意見をいただきながら、さらに検討を加え、地域の企業や大学等の教育機関とも連携を図りながら、子どもたちが、社会人、職業人として自立し、地域の担い手になるよう、職業学科の教育内容の充実に積極的に取り組んでまいります。
35:
◯議長(
家元丈夫君) 青木警察本部長。
〔警察本部長
青木五郎君登壇〕
36:
◯警察本部長(
青木五郎君) 巽議員の御質問にお答えいたします。
警察署等の再編整備につきましては、実施計画等に基づき、議員、府民の皆様の御理解と御協力をいただきながら、これまで5警察署の廃止を含む延べ27警察署において実施したところであります。
議員御指摘の再編整備の効果等につきましては、警察署の再編整備により捻出した人員を第一線現場に配置することで現場執行体制が充実・強化された結果、事件・事故発生時には迅速な初動捜査体制がとれるようになり、早期の事件解決につながっていると受けとめております。
また、警察の管轄区域と行政区域との整合により、地域、自治体、関係機関・団体と警察の協力・協働が効率化され、安全で安心なまちづくりに向けた取り組みがより積極的に推進されるなど、所期の効果は着実にあらわれていると考えております。
最近における効果的な事例を幾つか紹介させていただきますと、まず、地域、行政との協力・協働の関係では、本年4月に行われました、京丹後市及び丹後広域振興局と連携した消費者被害防止のための広報・啓発活動、同じく7月に行われました、舞鶴市役所、舞鶴市少年補導委員会、舞鶴防犯協会等と連携した「安全・安心のまちづくりパレード」など、積極的な活動を展開しております。
また、執行面でも、本年4月、舞鶴市内の国道27号線で発生したひき逃げ事件で、発生後の早い段階で手配車両を発見し、被疑者を検挙。同じく6月、京丹後市内を中心に発生した広域連続窃盗事件において、捜査体制を確立して被疑者を検挙するなど、再編整備により警察力は確実に向上したと認識しております。
今後につきましては、平成22年度以降、中京署の新設等9警察署にわたる再編整備を計画しているところであります。これまでに実施した再編整備の効果の検証結果を踏まえつつ、府民の皆様や関係機関・団体の御理解、御協力を得ながら、これらについても着実に進めてまいる所存であります。
次に、歩行者、自転車利用者に係る交通事故の今後の防止対策についてでありますが、本年10月末現在、歩行者が関係する交通事故の実態を見ますと、道路横断中の死傷者が最も多く、56%を占めております。一方、自転車が関係する交通事故の相手方は、自動車が最も多く81%を占めており、次いで原付車・自動二輪車14%となっております。状態別では、交差点等での出会い頭が最も多く約60%、次いで右・左折する車両との衝突が20%であります。こうした実態を踏まえて、歩行者の安全対策につきましては、通学路等での保護誘導の活動や歩行者妨害違反の取り締まりを強化しておりますほか、信号機の歩車分離等の改良、学校やPTA、警察等が連携して通学路の交通安全点検活動を行っているところであり、引き続き推進してまいりたいと考えております。
また、自転車の安全対策につきましては、利用者の交通ルール遵守を呼びかけますとともに、自転車の利用環境を向上させるため、道路管理者と協議しながら、自転車専用通行帯の設置等、自転車・歩行者と自動車のふくそうがない安全な通行空間の再構築を目指しているところであります。当府において全国に先駆けて施行されました「自転車の安全な利用の促進に関する条例」を積極的に活用し、自転車の安全利用と歩行者の保護に努めてまいります。
10月12日の久美浜町における交通死亡事故に対する交通安全対策につきましては、交通機動隊の白バイ、パトカーを集中的に投入して、通学路を中心に交通指導取り締まりや交通街頭活動を強化したほか、発生場所にパトライトを設置し、ドライバーに対する注意喚起に努めているところであります。
次に、信号機の設置状況及び設置方針についてでありますが、本年10月末現在、2,996基の信号機を整備しているところであります。本年度は20基の新設を予定しております。信号機の設置に当たりましては、道路環境、交通量、沿道の利用実態、交通事故の発生状況、道路利用者の御意見などを総合的に検討した上で、必要性・緊急性の高いところから、公安委員会の意思決定を得て順次整備することとしております。
御質問にありました峰山町の内記交差点につきましては、早急に信号機を設置することといたしまして、現在、所要の作業を進めているところであります。
37:
◯議長(
家元丈夫君) 巽昭君。
〔巽昭君登壇〕
38: ◯巽昭君 御答弁ありがとうございました。北部産業活性化拠点整備については、本当に大きな期待をしております。地元、そして地元企業、学校と連携をして、知事の言われる「夢のある拠点づくり」をぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。
警察署の再編整備については、本当に先行の事例をしっかりと検証されて、再編整備の本来の目的をしっかりと達成していただきますようにお願いをいたします。
そして、10月12日の京丹後市内での事故は、本当に衝撃がありました。久美浜町の女子中学生の本当に悲惨な事故については、ちょうどその日、当日朝、私にも中学生の娘がいます、バレーボールの朝練習に自転車で行く、「気をつけて行ってこいよ」と送り出した直後に、その事故の連絡を受けました。本当に背中が寒くなり、また、やり場のない怒りが込み上げてきました。犠牲になられました方々の御冥福を心からお祈り申し上げたいと思います。
後日、御家族の方から、どうか子どもたちをしっかり守ってくださいという悲痛な訴えも受けました。地元としては、京丹後市も死亡事故多発非常事態宣言を発令されて対策をし、また、先ほど本部長からありましたように警察の方も努力をしていただき、土木事務所も音や振動の出る薄層舗装を整備され、また、カーブの標識もつけていただきました。
どうか本府におかれましても、このような悲惨な事故が繰り返されないように万全の対策を講じていただきますことをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
────────────────────
39:
◯議長(
家元丈夫君) 本日はこの程度にとどめ、明12月7日午後1時から本会議を開きますので、御参集願います。
本日はこれをもって散会いたします。
午後4時44分 散会
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